TF
今回もプログラムを通しました。
曲順を変え、日本歌曲を1曲減らしました。
イタリア古典のCaro laccioでは、声の問題点はあまり目立ちませんが、やはり喉を開ける意味が、特に低音で理解が進んでいないようです。
口を開ける、と理解しても良いのですが、いずれにしても低音の声帯の振動を綺麗に行うためにやります。
低音の振動は、とても繊細ですから、その響きに注意することが出来ると、自ずと喉を開くように発声するはずです。また喉を開ける意味は、あくびの状態を作る、と理解しても良いです。
Le violetteは、今回も伴奏との音楽を作ることに集中しました。
単なるテンポの緩急よりも、フレーズ毎の歌う調子や、歌の音楽と掛け合いをするピアノのリズム感という
2つの要素が絡み合って、面白い音楽になります。
正解は1つではないのですが、いずれにしても自分で考えて工夫してみてください。
シューマンのミルテの詩集から4曲。
「くるみの木」は、基本テンポを結局ほぼ指示通りにしました。
声の問題点が解決したせいもあります。
テンポの緩急の指示は指示通りやってください。
蓮の花は、少し遅めに始まってもらいました。ピアノの和音は繊細な響きです。
出だしのテンポが基本とすると、その声の調子の基本に合わせて、ダイナミックの変化に応じて
テンポも多少伸び縮みすると思って歌うと、ちょうど良い表現に落ち着きます。
「ズライカの歌」は、出だしのモチーフのテンポを喋るようなたたみかける速さに設定し、中間部のテンポを抑え2番で戻し、3番は少し遅めにするという具合に変化を付けました。
「献呈」はこれも軽快に一気に歌いとおすイメージです。
ただ、伴奏形が3連符になる中間部はテンポを落とします。
声の問題点が軽減されたので、速く歌うべきところは、なるべく速く歌うという方が良いと思います。
日本歌曲の「かやの木山」は、これも基本的なテンポで、単純素朴に民謡風な主題を活かした歌い方にしてもらいました。これも良いリズム感が大事ですし、声のせいでそのリズム感が壊れないように注意してください。
「椰子の実」は、これも結局本来のテンポ感と、明るく堂々とした音楽ということで決定です。
詩の内容と音楽は一致するということで解釈が決まりました。
声は細かいことに拘泥するよりも、音楽を優先すること。
そのためにはテンポ感や歌詞発音のリズム感を、発声のために壊さないということが第一です。
NS
今回はプログラム全曲を通しました。
まずカルメンのアリア2曲からでした。
「ハバネラ」は、ハバネラ固有のピアノのリズム感を決めてもらいました。
何となく、音楽を時間経過の先に進むためだけにあるリズムではなく、一拍毎のリズムの形にこだわって、覚悟を以て弾いてほしいのです。
そしてそのリズムが積み重なることで、全体の流れやリズム感が決まることで、表現になるわけです。
最初から見通した流れに沿うだけのテンポ感だと、表現に至らないです。
原点はリズムの個性です。
「セギディッリヤ」は、歌のリクエストもあり、ゆっくりにしました。
声のためのようですが、確かに声は喉の開いた中低音のふくらみのある良い響きになりました。
フォーレの「5つのヴェニスの歌曲」は、以前も取り上げたことある、1~2曲目そして5曲目は、基本的に良いのですが。3曲目の「グリーン」と4曲目の「クリメーヌに」を伴奏音楽と共に、再構築しました。
グリーンは8分音符の連打に、駆けてくる速さのようなものを感じたいです。
声は、喉の深い響き、あるいはしっかりした響きになると、この詩の表現から逸脱してしまいます。
詩の内容にもう少し寄り添うためには、あまり深い喉にする必要がなく、少し浅めにして、Pの声を表現することで、この詩の冒頭の意味が良く出せるでしょう。
声の強弱の使い方が、この曲の詩情を良く出すので、注意深く楽譜を再確認してください。
「クリメーヌに」これも声よりも、ピアノ伴奏でした。
骨太な骨格と、音楽の強弱に応じたテンポ感の揺れがほしいです。
テンポの揺れは楽譜に書いていな部分なので、音楽の強弱から音楽の詩情を読みとって行くしかないです。
武満徹の2曲は、テンポ感と歌声は共に良かったです。
「小さな空」ややテンポが速めでしたが、3番だけ、ゆっくり目にするとバランスが良いでしょう。
「島へ」はテンポと出だしの声がはまっていました。後半、テンポが速くらないように注意してください。