FY

発声練習は、呼吸法と発声で軟口蓋を使うための練習をしました。
呼吸は、下腹部を少し引っ込めながら、息を吸うことを同時に行います。
結果として側腹から腰にかけて(胃も)要するに胸骨の真下の腹部が全方向に少し拡がるようになればOKです。

文字にすれば簡単ですが、実際に息が入っている実感がないと、勿論意味がありません。
実際は胸で吸っているのに、お腹だけ膨らませても無意味です。
あくまで、息を吸うことと、このお腹の動きが一体化していることに意味があります。

従って、お腹の筋肉だけを練習しても無意味です。
歌うためのブレス、呼吸と一体化していることが、重要なのです。

コンコーネは14番を練習しました。
今回はリズムの間違いが少しありましたので、修正しました。
14番は、低音と高音のロングトーンが特徴です。
低音は息を使い過ぎないように集中して下さい。
高音(2点D)は、息が楽に吐ける状態で発声出来るかどうか?という基準です。

このため、前述のブレスの方法を開発して行くことを教えました。
低音の息の集中にしても、高音の息の気持ちの良い流れにしても、お腹の使い方、呼吸法がとても大事な要素になります。

前述の息を入れることが出来た上で、発声時には膨らんだ側腹部や腰をそのまま維持するように意識出来ると、呼吸を無駄に使わなくなります。

また、このことで声の支えが出来ますから、高音から低音へ、或いは低音から高音へ、と声区をまたがるフレーズでも、声区に段差がつかなくなるでしょう。特に低音に降りる際に有効な面があります。

軟口蓋を意識する練習は、息だけを吐く練習です。
口をあまり開けないで(少し開けるくらい)息を、口蓋垂(のどひこ・のどちんこ)にぶつけます。
そうしますと、のどひこが震えてブルブルブルという状態が出来るでしょう。
この息のぶつける方向を覚えておいて、実際の発声でも同じ場所に声を当てるように練習します。
同時に呼吸法も忘れないでください。

曲は、Sebben crudele と Nel cor piu non mi sento
こちらは、いずれも呼吸法の意識が良く感じられる歌になりました。

この呼吸法を覚えると、もっとも効果が出るのが、いわゆる「喉の開いた状態」が、自然に出来ることです。
ただ、自然に出来たとしても、その喉の開きと、舌根の感覚が結びつくと、いつのまにか舌根だけで喉を開けた状態にすり変わってしまうこと、が問題になります。

彼女の場合は、舌根そのものよりも、口を開ける際に、下顎に力が入り過ぎることではないでしょうか?
発声には、下顎を極力使わないで、上唇や鼻の穴を開ける方の筋肉を使うことに集中して見て下さい。

下顎はただ上あごの関節にだら~んとぶら下がっているだけ、という感覚が良いでしょう。
あるいは、舌も脱力してよだれが垂れそうな感覚も良いことです。

モーツアルトのDans un bois solitare et sombreは、フランス語の読みと、単母音での、練習となりました。
単母音で、発声の基本を極力覚えてから、歌詞で歌うという順番を守った方が、後で苦労しないと思います。

YC

明日に迫った演奏会の曲目の伴奏合わせでした。歌のレッスンよりもピアノの伴奏のことが多かったです。
歌のレベルが高いので、いかに歌い手の能力を引き出せるかどうか?はピアノ伴奏にかかっています。
グノー「ロメオとジュリエット」アリアは、3拍子の基本テンポの変更を少し速めにしました。

前奏のフォルテで弾く、オーケストラのイメージを持ってください。
フォルテの響きは、手先ではなく、身体の重みを使うように弾くと良いと思います。
手先でテンポ内で全部処理しようとすると、音量以前の問題として、軽い音楽にな

トスティの伴奏、8分音符の伴奏をもっと歌うようにしてください。
きちっと8分音符を弾くと、たっぷり歌うべきカンタービレなフレーズがこじんまりしてしまいます。
トスティや、次に歌ったドナウディの、歌い上げるメロディは、伴奏をゆったり目に広く感じるリズム感によって、
歌手が自由に広々と歌い上げられるように、そういうシチュエーションを作るべきと思います。

日本歌曲の伴奏は、再度テンポを変更し、少しゆっくりにしました。
「椰子の実」は、音楽の輝かしさ、前向きさを考慮すれば、ゆったりだとしても、強さが必要なのです。
まったりした歌い方は合わないか、と思いました。
「花の街」は、3番は少し調子を落として、最後のさびだけを良く歌って、ゆったりと終わると良いと思います。

TK

演奏会の曲目、最後の伴奏合わせとなりました。
バッハのカンタータ二重唱から始めました。
アルトの発声は低音の響きがとても難しいものです。この低音の響きがないと、この曲の二重唱の音楽が見えてこないです。
その意味で、この作品はアルトの発声がキーポイントになる曲、という感を強くしました。

TKさんは、声の調子が良く、終始良い声質で歌えていました。
ヘンデルのLascia ch’io piangaは、静かに粛々と進んで行く節回しが上手いです。
Se pensi amor いずれもテンポはちょうど良いですし、Se pensi amorの勢いのある声の響きは、彼女の声の魅力を出していると思います。

ロッシーニのUna voceも、テンポの調整はほぼ終わり、最終調整です。
良く練習したなという結果は、特に高音の声に工夫があったことに感じ入りました。

日本歌曲は「うば車」教えたとおりに歌ってくれているし、テンポもちょうどですが、やはり中低音のフレーズの伸ばしはとても
難しいです。
声が当ってしまうために、息が流れにくそうです。息が綺麗に流れる声にならないと、フレーズ終わりの部分、ディミニュエンド出来ません。
この中低音の少し開いた声帯の状態、今後の課題としたいと思いました。
「風の子供」は、Ritの長さ、戻りが不十分だったので、少し調整しました。
やはりRitは、どこから始まってどこで戻すか?という形を決めることが大事です。
書いてある通りには、なかなか行かないので、やってみて決めるべきです。

「たあんきぽーんき」は、テンポ感は良いので、短調になる部分だけ、もっと思い切ってゆっくりにしても良いでしょう。