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ラヴェルの「ギリシャ民謡」の1曲目から練習を始めた。
譜読みは、ほぼ問題ない出来上がりだったが、声がいま一つ乗らない印象。
そこで、最初の音、2点Dの発声を決めた。

具体的には、5度下の声を発声して、そのポジションで5度上も発声するように、という方法。
これだけで、俄然、良くなった。
ピアノの音越しに、声の響きがビンビンと通って来る感じ。芯がついた声になった。

同じ発声で、フォーレの作品を次々と歌ってもらった。
以前、譜読みの練習をした「閉じられた庭」の1曲目、2曲目、6曲目、4曲目、5曲目、9曲目といった順番だったか。
全体に、以前の彼女であれば、発声が出しづらく、歌っていても忍耐力が要るような感じになっていたのが、むしろ伸び伸びと歌えているように
感じられるくらい、中低音の発声に進化が感じられた。

注意したことは、まだ音符を歌っている感じがすること。特にテンポが遅くなると、音符だけで歌っているように感じられる。
歌詞を語り進める推進力のあるフレージングを研究してほしい。特にテンポがゆったりしたものほど、である。

その後は、Lydiaも練習。この曲では、中低音の発声そのものは良いのだが、ニュアンスとか細さよりも、大らかに大きく伸び伸びと歌う方が
彼女の声は良いと思った。特に高音に上る上昇形の部分は、声のチェンジや高音の一見した細さを意識しないで、クレッシェンドするように
伸び伸びと高音を歌いあげてほしいと思った。

最後にモーツアルトのVorrei spiegarvi,oh Dio!を練習した。
この曲も以前、何度か譜読み、練習した曲である。

最高音域は、3点C以上であるが、この音域はとても響きがよく、管楽器のような響きが感じられた。
一聴して、低音発声の改善のせいか、それに起因する中高音の太さが美しく際立っていたが、それが故に、更に高音域の声も中高音で出せる力強い声を
そのまま持ちあげていくようなフレージングがもっと聞きたくなる印象であった。
この辺りが研究課題だろう。