あめくさん

発声はハミングから始めて、イの母音。
どうもこの1週間ほとんど声を出していなかったのか?
声が温まるのに時間がかかった。
喉も少しガサガサしていたし、中低音は、響きが出なかった。

ハミングの後は母音、イで2点Aくらいまで上がって、次に母音アを
ヤで初めて2点bくらいまで上がった。
いずれも上向形5度。

声は温まれば、何の問題もないが、やはり中低音は響き感が少ない。
特に低音部は、むしろ良くなってきているが、真ん中辺り1点A~2点Cくらいにかけて
どうも響きの谷間になってしまう。

この辺り、姿勢とか発声の方法という技術的な問題があるが、彼女の場合
一段下の胸声区の太さが人並み外れてあるために、その領域と一段上の
領域の声区との融合が難しいことがあるのだろう。

取りあえずは、一段低い声区の声も使っていくことではないだろうか?
使っていくことで、上の声区との融合が自然に行われる、ということを待ちたい。

ということで、最初にやったアーンの「我が詩に翼ありせば」のキーを一段低くして
オリジナルにした。
当初、彼女の綺麗な高音を生かそうと思ったのだが、それにしても中低音の響きの
少なさにちょっと難しさを感じた。
今日、1音低い、オリジナルでやってみたところ、何よりオリジナルの良さである
ピアノのアルペジオの響きのトロ~ンとした、まったり感が良かった。
そこで、こちらのキーで歌うと、一段低い胸声区の太い響きが生かせた。

この彼女の持っている低い声区の魅力は独特だ。
男声のカウンターテノールの低めの響きにも似た、独特の色気が出る。
旋律が単純なので、声区の切り替えもそれほど目立たないで無理がない。

ということで、問題は解決したいところだが、声の扱い、特にクレッシェンド
していく上向のフレーズの積極性はもっともっと欲しい所。

もう1曲、プッチーニの”O mio babbino Caro””
こちらは、中低音は切り替え出来ないが、なるべく発音をはっきりさせることと
そのことと同時に、軟口蓋を良く上げて、明るいはっきりした中低音を
目指したい。

それから、後はスタイル。
特に伸ばす高音は良く伸ばして欲しい。
最後の””Addio vorrei morir””は、Vorreiまで伸ばして、短いブレスでMorirを激しく歌って欲しい。
要するに息を吐ききることで、その勢い余ってMorirを言う感じだ。

次のBabbo pieta pietaの高音に上がる所も、伸ばせるだけ伸ばしてほしい。
聞かせどころである。歌舞伎で見栄を張るようなスタイルを少し臭いくらいに
出してほしい。
高音から降りる時は、ポルタメントも綺麗だから積極的にやってほしい。

この曲は、彼女の今までの勉強した歌のスタイルからは、かなり離れているので
新たな挑戦になる第一歩となるだろう。
積極的果敢に挑戦して欲しい。期待している。”