くらのさん

発声練習は下降形から母音アで初めて、2点Gくらいまで。
後はイで上向形5度で2点Aくらいまで。
やはり舌根の硬さが残るが、大分高音域は楽になってきた。

発音と関係するようで、歌詞で歌うと特に母音のオやウがこもりやすい。
彼女の言うにはどうも発音をはっきりさせると、舌根に力が入りやすいとの事。

常に舌先に意識を持って、舌全体が奥に引っ込まないように、響きを前に当てるように、意識して欲しい。
自分の耳でどういう声が良くて、どういう声が悪いのか、ということを早く知ることも上達の秘訣である。
また、以前からやっているが、基本的にエの母音が良い。

いつも言うように、どんな表現のときでも基本的に声質は明るく高く響かせるべきである。
なぜなら、基本的に暗い発声、こもった発声は、ピッチが低くなり、倍音が出難いので同じ声でも通りが悪いのである。

だから、例えば今日やった中田喜直「霧と話した」などは、曲調が明らかにマイナーで悲しげな曲であっても、基本的に響きは高く明るくないと余計に暗い響きで音程も♭になり、そのために通りが悪く何か良く分からない音楽に
なる。

クラシックでは特にAVを通さないのため、通る声であることが大きな条件になる。
声が通れば音程も良く分かるしリズムも良く分かる。
音楽が聴いている人に分かれば、それ以上歌手が二度押ししなくても理解してもらえるのがクラシックの良いところである。
そういう意味でこの曲は歌詞の思いをそのまま出さなくても、淡々と綺麗に歌うだけで聴衆はこの音楽の哀しさや孤独が良く分かる、ただ歌うだけで伝わるように書いてあるのである。

さくら横丁は綺麗に、歌えている。譜読みもきちんと出来ていた。
こちらも特に出だしで「春の宵～」のアの母音を捉えて、なるべくその響きを換えないで、後の言葉、フレーズを歌って欲しい。
明るく気持ちの良い響きになる。

後は、メリスマで半音階で昇って降りるところは、昇ったらさっさと進んで最後のリタルダンドだけ、はっきり出せば良い。
要するにブレスが持つように歌えば良いのである。
ただ、音程が気になるだろうが、あまり細かく考えると進まないから自分を信じて歌えば良いのである。最後のG♭だけは合わないとまずいが。笑

次回は今日の2曲の復習と「落葉松」をやってみることにした。

やまださん

昨年12月以来である。
声のほうは調子は良かった。

彼女も大学生でこれから色々あるのだろうが、歌が好き、ミュージカルが好きでこちらにレッスンに来るのが楽しみなのだろうか、何かミュージカルの歌に対する熱い思いが伝わってくる。

発声はまだまだ喉で母音を作ってしまうので、ハミングから母音に変換する練習が肝であった。
ハミングは良い響きだが、母音にする際に軟口蓋を開く意識が前過ぎて鼻声になってしまう。
もっと奥ののどちんこ（口蓋垂）に充分意識を持って、そこから真上にあたかも蓋をパカ～ンと開くようにすること。
その際に、下顎を動かさないことがコツである。

これは口を開けたハミングからだから、開けた口下顎を母音にする際にばくっと下に下げてしまうと、軟口蓋を働かせる筋肉が働かなくなるのである。

そういうちょっとした感覚、やりかたを注意深くやることで、良い声の響きが出てくるし、そういう声で歌うと喉も楽になってくる。
特にミュージカルの歌は実際はマイクで歌うとしても、英語で歌うわけだし当然欧米の人たちの発声を考えればクラシックの発声は必須である。

英語のネーチュアー達の発音を聞けば分かるが、鼻腔が良く開いた響きだろう。
同じことである。
歌でも、喉の奥、そして軟口蓋の上がった、上の良く開いた響きで
歌うべきである。
例えば、口先でパクパク、いわゆる日本風にてにをはのはっきりした発音で歌うとおかしくなるのである。

言葉は分かるが、これは日本語の発語が良く分かるということである
響きとしては、平べったい響きになってしまうからである。

というようなことをやって、Wishing you are somehow againを歌った。
発声をやったせいで、出だしのページから2ページくらいはとても大人っぽく美しく歌えていた。

後半は声を張るし高音が出てくるので、少し喉が力んでしまうようであった。
しかし、高音はそれなりに綺麗に出せるようで、無理は無い。
良い声はそんなにすぐには出てこなしいし、力みも仕方ないだろう。
喉、舌根を力ませないで、お腹をしっかり入れて声の響きを頭部にぶつけるように。
そして、お腹を入れてクレッシェンドするようにしてみた。

発声を少しずつ積み重ねて、良い声、声量を出していけるようにしたい。
本人のやる気とモチヴェーションさえあれば、こちらはいくらでも付き合うつもりはある。
次回から「オペラ座の怪人」のAll i ask of you ,Think of meの2曲をさらうことにした。
デュエットなので、取りあえず私も歌うことにした。
楽しみだな～！