発声ですが、まだまだ喉の力で喉を慣らす、という感じが強いです。
お腹の呼吸と声がリンクしていない感じ。
声を出している時、同時に息を吐いている感覚を持ってください。
もちろん、息を吐きすぎて声がスカスカになっても駄目です。
頃合が大切です。

息の漏れがあるということではなく、息を吐く力が声を出す力と合致している感覚です。
そういう見方で言えば、どんな発声でも合致しないわけではないのですが、概ね
お腹がついていない声というのは、息を吐く力がお腹ではなく、胸や喉周辺など
ポイントが高いということです。

これは結局ブレスとつながります。
ブレスは決して息をたくさん吸うという意味ではなくて、筋肉の力です。
きんにく~!にくにく~!がきちんと働けば、喉も収まって、自然と声はお腹から出るのです。
要するにお腹や腰の筋肉を使ってブレスをすることが出来れば、自然と上記の問題は
解決するのです。

ということは焦ってブレスしては駄目なのです。
慣れないのであれば、ゆっくりでも良いですから必ずお腹の筋肉を使って
ブレスをしてください。何度も言いますが息をたくさん吸うことではないのです。

それでも声の素はとても良い声が出ているのです。だから勿体無いと思うのです。

さて、曲は23日に歌うシューマンの「女の愛と生涯」5~7番の3曲。
5番は、彼女の声楽的なレベルで歌うことが可能で、かつ一番良いリズム感を
持てるテンポを探しました。
4分音符104くらいだったかな?
2つ振りにすると、愉しくゆったり歩けるテンポですね。スキップが出来そうな感じ。
歌っていても、このテンポ感が感じられること、出せることが何より大事です。

6番は、テンポ感は良くなりました。
声の抑制が後一歩ほしいところ。少し元気が良すぎました。
声が少し間延びして浅い感じがするのは、姿勢です。
顎が前に出て歌ってしまうためです。きちんと顎を引いた良い姿勢で歌うと
声も自然と大人っぽい抑制の効いた声になります。

7番は、これもテンポが良くなりました。最後のページのPresto表記ですが
あまり早すぎないで、同じテンポを2つ振りで歌うだけで良いと思います。
早くすると走ってしまって、何が何だか分からなくなりますので。

しかし、どうにかテンポ感と音楽が固まりましたね。
後はこれを定着させて、本番ではなるべく顔を上げて歌えると素晴らしいです。
期待しています。

はやしださん

発声の声は艶やかでとても良い感じです。
特に真ん中の1点C~D位から下1オクターブはとても良い胸声の響きです。

高音域は声量を出そうとするのではなくて、音程を高くきちっと当ててください。
それだけで、充分なのです。
但し弱くすると言う意味ではなくて、きちんと当てれば良いのです。
ただ当てる場所をきちんと高い場所を意識すること、脳天にカツ~ンと
コンパクトに当てれば、それだけで充分響きますので。この「カツ~ン」という感覚が意外と大切です。

中高音~高音は、未だ軟口蓋と喉頭の引張りっこのバランスがあまり良くないのです。
やや声量に傾き勝ちのために、音程が犠牲になってしまいます。
もう少し軟口蓋を引っ張り上げる方のバランスを強くした方が良いですね。

そのために、頬を上げること、下顎を下げ過ぎない方が良いと思います。
頭蓋骨への扉を開いて、その中に響かせようとする感覚です。
扉にあたるのが、軟口蓋です。これをぐいっと上げてやれば扉は開きますので。

曲は23日に歌う、シューベルトの3曲。
「冬の旅」1曲目の「おやすみ」は、どうもテンポが遅すぎて何度もやり直して
しまいました。ピアノの8分音符が走らないように、と意識しすぎたのだと思います。

ヒロイックで男らしいこの曲は、声もあまり抑えない方が良いと思います。
特に出だしの高音は、きちんと当ててほしいです。
テンポが決まればとても良いです。
後はドイツ語特有の語尾の子音。これはシラブルではないので、必ず母音だけで
音符を歌ってください。Michは1シラブルなので、これに音符が幾つか付いたら
当然イの母音だけでメリスマになる、という具合です。
最後のRitは、2倍くらい充分にやってちょうど良いです。

「水車小屋」1曲目「流浪」は、予想外に早かったけど、案外良かったです。
言葉が非常に明快に立って歌えていました。
ただ、それがために、少し声が犠牲になっている感がありました。
特徴的な上り下りの音形 Mullerなど、息の力が感じられるともっと面白いです。
最後のDas wandern の高く響かせる所なども、もっとしっかり出せると気持ちが良いです。

Du bist ruhは、テンポがどうも軽くなってしまい、当初の表現から離れてしまいました。
ブレスが短い、というか浅いために、いつの間にか走ってしまうのです。
これこそ「筋肉」のブレスでしっかり息の流れを平坦にコントロールしてください。
後は特にど頭のフレーズは4小節をブレス無しで歌った方が、緊張感、集中力ともに
音楽的です。
後の所は、言葉のコンマが入っていたりは、小さなブレスがあって良いくらいです。

最後の高音は、特にミ~ファの半音の音程は充分取ってください。
ファの音程が声量に傾いて、音程が♭になってしまい勝ちですから。
エの母音なので、下顎をあまり下げないで、頬を上げて軟口蓋を上げて
頭蓋骨に響きを入れてください。
とても良くなりました。本番がかなり楽しみです。