発声練習を2点C~Eくらいの換声点領域に特化してみた。
最初に頭声を出すように2点Cから始めて少し上まで上がり下がりして、次にドミソで
1点Fくらいから昇ってみた。
これが比較的に上手く行っていたし、チェンジする意識がはっきり見えてきたので、今まで練習したことは成功、と思った。
5度スケールもドミソより難しいが、母音アでも何とか対応しているし、対応しようと言う姿勢が見えているので、安心。もう大丈夫だろう。後は練習と慣れだ。
ヤヤヤでやると一番難しかったけど、これからはこれでやっても上手く出来るようになれば完璧。
フレーズを歌いながら口の開け方を自由に調節できるようになれば、恐らく上手く行くだろう。言葉を発音しながらも口を開け閉め出来ることで、歌詞がついても喉が締まらないように出来るようになるだろう。

伴奏合わせだったが、ベッリーニのカプレティ家のジュリエットのアリアは本当に一発で決まるくらい良かった。
勿論伴奏者の力量に負ったことも大きいが、レシタティーヴォが俄然良くなった。
アリアはやや伴奏が重かったが、何とか対処して無難に歌いきった。
今の時点ではほぼ言うことはない。
次回の合わせで今日の良い結果を更に定着させたい。

シューマンのリーダークライスからMondnacht
テンポの設定を多少模索したがすぐに決定。
前半の月の光の静かで落ち着いた風景に対して最後のページの展開に工夫を。
この形式は最初の節が同じフレーズの並置だが、それらに対する敷衍と言う形が最後のページ。
リタルダンドは表示のある小節だけで、次から戻すべきだろう。
Und meine seel spannteから先は、リタルダンドを挟んでどんどん進んでひたすら盛り上がって頂点を迎えて
最後にAls floge sie nach hausで収めるという形だろうか。
ABAではなお非対称でシンプルな形式で、劇的な効果を生んでいる。その効果を十二分に表現して欲しい。

schone fremdeは声的に難しいというよりも、フレージングとテンポの妙が非常に難しかった。
基本テンポの表記は4拍けど、モチーフの区切りや言葉が2つ振りの単位になりがちなのである。
だから歌うものは2つ振りの感覚で歌う方が良いだろう。
ドキドキしたときめきのようなものを出だしから現してほしい。
そして、次ページのEsfunkeln auf michから沸々と小さく始まるが、その沸々は最大の劇的な頂点Es redet trunken die ferneを迎えられるための布石であることを大切に。
書いてしまえばこれだけだが、伴奏とのアンサンブルが難しい曲だった。
一番出だしのEsの響きが、喉を深くしすぎでやや響きが聞こえない点を注意してくれれば、後は特に問題はない。

とにかくふじいさんは3曲ともテンションが非常に高い演奏をしてくれた。
どこからこの情熱とテンションが生まれるのだろうか?と不思議と言っては失礼だが、溢れ出る歌う情熱だった。
音楽の源泉と言うのは神秘的でさえある、と彼女の歌を聴きながら思った。
この調子で次回も合わせが出来れば、良い本番を迎えられるだろう。

にしむらさん

発声は母音イとアで5度スケール。
バランスの良い響きで2オクターブの音域を綺麗に無理なく発声出来るようになった。後は実際の歌、歌詞の中で更にこの響きにプラス開いた響きを作れるかどうか?特に中音域は声がひっくり返る、というリスクがあるらしいが怖がらないで更に喉を開けるようになって欲しい。
喉と軟口蓋両方のバランス。
開きがまだ少し足りないのと、歌詞による響かせ方の微妙な違い、母音による声色形の違いなどは、後は語感の問題なので歌を歌う中で積み重ねて欲しい。
そこまで行けば素晴らしいだろう、と想像できるのだ。

要するにフランス語ならフランス語で母音の大きさを開いた発声で更に表現できて欲しい。
というのも、とてもよい感じで喉が当ってきているのだが、それだけだと響きとしては大きな(声量ではなく)ものにならないのである。
もっと言葉と音楽の関係が、

曲はフォーレの「夢の後に」から。
全体的にはバランスよく歌えているが、やや音楽がこじんまりしてしまう。
テンポをもう一度少し遅めで始めてもらい、歌で引っ張っていく感じにした。
やはり低音のエの母音が上手くはまらないが、トライしてみる。
彼女の場合エに関してはアの響きを応用した方が良さそうである。
要するに閉じすぎか開きすぎかどちらかになってしまう。

アを発音するつもりで、舌だけエの形になっていれば良いのだが。。
これは本番後に練習したい。
最後のO nuit mysterieuseはリタルダンドなしで。

「トスカーナのセレナーデ」はとても良い。
細かく書かないが、出だしは歌いすぎないで、リズムを良く出すように。
Eveille-toiからは滑らかに、そして節の最後に来るフォルテで最大限のエスプレッシーヴォを!
要するに全部を歌いたくなる曲なのだが、全部歌いすぎることで、メリハリがなくなり聴く者の集中力をかえって殺いでしまうのである。
歌うべきところ、リズムを大切にする所、滑らかな所、分けて歌うこと。
全体の設計図をもう一度見直して欲しい。

Adieuも基本的に美しい。
こちらも細かい発音の見直しを!
中間部の始まり、On voit dans ce mondeの鼻母音がイタリア式にンが付いてしまう点を注意。
開きっぱなしで。鼻腔に通すのである。
最後のAdieuのPで伸ばす声が美しい。

全体に声は良いのだが、欲を言えば母音の開きがまだ足りない。
言葉の発音、あるいは母音をもっと大きく発音出来るようになって欲しい。
そして歌いこむところ、語るところ、抑えるところなどのメリハリの付け方が身に着くと更に素晴らしい。

ピアノとのアンサンブルはまったく問題がない。
安心して聴けるので次回の合わせで完璧だろう。
次回を楽しみにしている。