KY
いつものように発声練習をして、いつものように歌って終わればそれ相応に、彼女のスタイルで楽しめると言えば楽しめる程度に彼女は成長した、と思うのだが、どうしても気になることがあった。
それは、彼女の歌う身体のこと。
どうしてか?というと、立っている身体がどうにもしゃん!としないのである。
しゃんとしないことと、声の状態が一致しているから、体つきがどうも気になって仕方が無い。
これが彼女の最初から一貫したテーマである。
それは、これ以上気にしなければ、彼女がそれで良いなら、このままで良いのかもしれない。
ただこのままでは、真の意味で歌を音楽をもっと活き活きとキラキラとさせる部分を出せないままで終わってしまうだろうから。
立ち方、とか腹筋だ、背筋だ、という以前に、彼女の場合は集中力を相当意識することに尽きると思う。
その集中力を何で得るか?という点。
さて、この点に関して言うと、今日練習した「夏の思い出」「からたち」「桐の花」
この中では、「からたち」の練習がもっとも効果的である。
良い声とか発声とか言う前に、そして楽譜の読み方とかソルフェージュとか言わないで、ひたすら書いてある言葉を感情を込めて読んでみよう。
感情を込めるためには、ここに書いてある言葉が、どのようにして発せられるか?という背景をイメージすることである。
どんなシチュエーションで誰が誰に、どんな気持ちで語っているのか?
それらのことを、良くイメージした上で、朗読しよう。
以上のことを良く練習して歌ってみよう。
その歌は仮に声が洗練されなくても、歌の根源があるから人に共感を与えるものになるだろう。
あるいは歌っている人がきらきら輝いたものに見えるはずである。
そうやって歌ってみて、そこから始めて発声のディテールの問題に入ってくることになる。
どうしたらもっと高音が表現に似つかわしいものとして出せるのか?
どうしたもっと感情の起伏を美しく声にして表せるのか?
順番は表現の希求するモチヴェーションがまず最初にあって、手段が目的ではない、ということ。
逆に言えば上記のことがないのに、発声のディテールの話には持っていけないし、持って行くべきではないのだと考えて欲しい。
AM
今日はとても調子が良かった。
また、少ないレッスンで飛躍的に向上してきた。
彼女の一番良いところは、とにかくやれるだけ、出来るだけのことをなりふり構わず一所懸命できることである。
やっているつもりだけど、外からは見えない、という程度ではなく、それが良く分かるところである。
口を開ける、お腹を使う、声を出す、という単純素朴なことを、出来るだけやれるだけやって、それが自然に良いツボにはまって行くのは
彼女のタレントだろう。
普通は、それでもツボにはまらないから、そこでどうするか?という話しになるのだが、その話を端折って先に進める良さがある。
一つは高音の才能だろう。
勿論2点bから上の領域は、まだまだテクニックが必要だが、テクニックがなくても、何とか出ちゃう高音向きの喉。
その分、確かに2点Cから下がすかすかするが、その点さえも、こちらが口を使いながら見せながらピアノを弾いていると
真似をして、それなりの声を出してくれる。
基本的に息に力があるし、身体がしっかりしているので、喉も多少のことではへこたれずに、良いポジションを保てるし
探してツボを見つけやすい、という感じだろうか。
最初は苦労しそうな気がしたのは、喉がスカスカか、地声になるか?どちらかか?という段差のきつい声にあったのだが、
その点は、あっと言う間にクリアしてしまった。
後は歌詞で歌う場合の響きのポイントを変えないで母音や子音に対処することや、高音域の響かせ方、中低音の響かせ方のディテールだろう。
曲をやりながら覚えてもらえると思う。
今日はコンコーネの3番~6番を練習。
いずれも譜読みは良く出来ていたので、発声やフレージングの練習が充分に出来た。
曲はイタリア古典からAmarilli
こちらはほとんど上がりに近い。
ブレスが長いのが得である。
Star vicinoもとても良かった。
子音の扱いに注意。声の響きが途切れないように。
最後にTu m’ancavi tormentarmiをやりかけたが、まだ譜読みが不完全だった。
譜面も読めるし、後はどんどん歌って行けば良いだろう。