YC
ちょっと間が空いたが声の調子は良いようであった。
軽く10分くら発声練習をして、早速発表会の曲を決めて練習した。
Il barcaioroは、譜読みは出来ていた。
後は、後半のちょっとしたダイナミックの変化やテンポの変化などを調整。
出だしは、Pだが、もっとしっかり出始めたほうが良いだろう。
日本女性で軽いソプラノの場合、中低音は響き難いせいもある。
中間部で強声になる所、音域的には2点Es~Fくらいがやや♭気味、ビブラートの多い声になる。
響きを高く意識して欲しい。胸に強く当てるのではなく高く意識すれば、響きで聞こえる。
高音域は相変わらずブレスが伸びて良い声質である。
アリアはWallyを。
出だしから細かく見ていった。
中低音域が響きが弱いので、母音で歌ってもらったらとても良かった。
歌詞がつくと、どうも響きが弱いのは、歌詞を歌うせいで響きが途切れてレガートが成立しない発声、ということが良く判った。
単純に、あくび状態で発声、発音する、という基本を忘れないように。
特に出だしのフラットな旋律は1点hが続いて、響き難いし言葉が続くので、逆にレガートな発声がとても大事。
高音はとても良いので、全体に重めの音楽に構成して、ドラマティックをある程度は演出したい曲である。
KH
発声は暖機運転程度に、早速歌に入った。
ドナウディのVaghissima sembianzaは、お腹を使って呼気を高く上げること。
ポイントは高音を出す時と、特にフレーズの終わりである。
息を吐き切って、その反動でブレスを自然に入れる循環を感得して欲しい。
イの母音は舌根を力ませないで高く鼻腔で響かせよう。
マスカーニのアヴェ・マリア。
こちらは、全体的にリズムをきっちり把握してもらうことから始めた。
前半は、アリアで言えばレシタティーヴォだから、言葉の抑揚で、先へ先へ進むように歌うこと。アリア部に入って少し重く、ゆったりと歌うように。
懸案の高音は細いが無理なく頭声に換声しているので、良しとしたい。
最後にBachのBist du bei mir
一回目の通しは、特に問題を感じないが、歌としての集中力というか性格が弱い感じ。
例えば出だしのBist du bei mirという言葉をどういうスタンスで歌うのか?
喜怒哀楽のうち、どれなのか?
というような話し合いで、環状を素直に出すことに専念してもらう。
そうすると、彼女の場合非常に素直に感情が顔に表れるし、それが良くて効果的だった。
同様に、この曲の中の音楽の変化に素直に対応して歌えば、キャラクターのはっきりした歌になる。
SY
中低音は口を開けない発声で良く声帯が振動しているし、それなりにつぼにはまった声を出せるのだが、やや声質が暗くなることとか、微妙な音程感として♭気味ということもあったりするので、口を開いた発声を指導した。
下あごで降ろさないで、上顎を上に上げるようにアーティキュレーションすること。
特に狭母音などでも、意識して縦に良く口を開けるようにすること。
そのことで、口奥を開く、軟口蓋を高く上げる意識を持った発声を心がけて欲しい。
それだけで、明るい良く通る響きになる。
フォーレの一連の歌曲は和音と声の関係がとても大事なので、響きの高さ、明るさはとても大事である。
特にどの曲も内容に関わらず、声の響きを高く明るくすることは大切にして欲しい。
ただし、軟口蓋を上げることと喉が開くことは常に一体であり、上だけ意識すると喉が浅くなるから、バランスには注意を。
今日はRoses ardentes がとても良くなった。
響きが明るく明快になり、フランス語も明快になるし響きも良いから、曲本来の持ち味が良く出るようになった。
Veilles tu ma senteur du soleilも声がビンビン出て気持ちが良い。
ただ、テンポが速いし言葉も多いので、開いた発声は慣れが必要である。
狭母音が全体に広くなっても良いから、なるべく口を開けた状態を保ってみよう。
Crepusuleも声が驚くほど良く出て言うべきことはほとんどなかった。
今回も無理なく、彼女のペースで勉強できて本当に良かった。
人によりけりだが、曲の本質的な難易度や技巧の難しさへの挑戦というテーマではなく、
確実に出来るポイントに焦点を絞って、安定した歌唱を目指すことは、音楽的にも大切なことだろう。
そのことで、本人が自信を持って歌えることが何より大切なこと、と思った。