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今日の彼女のフォーレは素晴らしかった。
声の出し始めは少し暖まっていないのが気になるようであったが、音楽があたかも声を育てたかのように、曲の音楽自体が声をたちどころに創り上げてくれた感じ。
全体にフォーレらしい、いぶし銀の声で、中音~中高音の声が、ブラウンとシルバーが混ざったような渋いが明るい光に満ちていた。
歌曲でとても大切な中音~中高音の声は本当に良くなったと思う。
歌曲に限らず、音楽的に本当はとても大切なことなのだが。。
フォーレの「月の光」は、昨日のNSさんの「蝶と花」に続いて、こちらが演奏スタイルのインスピレーションを頂いた。
その内容は敢えて書かない。
今までに経験のない、「月の光」の美しい側面を経験できたのが、幸せだった。これからのこの曲のイメージのスタンダードになりそうである。
久しぶりに聴いた「祈りながら」も実に透明で祈りの気持ちが溢れた素晴らしいものだった。
ピアノが平易な面もあって、アンサンブルが楽しめた。
まったくシンプルであるからこそ、奥深い素晴らしさを湛えた作品であり、それを実現しているフォーレは本当にフランスの中でも正にフランスを代表する歌曲作家であることを認識出来る歌であった。
「夜想曲」これは、少し難しい。
本当は楽譜どおりのフレーズで歌うべきなのだが、どうしても自分にはテンポが速い気がする。
それは、レガートがとても難しいこともある。
早くても完璧なレガートが出来れば良いが、これは難しい。
フランス語の発音はきっちりしていても、それを絶対に表に出さないで、徹底した、真っ直ぐな
いわゆるSans nuanceな、レガートを実現してほしかった。
そのためには、1テンポ遅くした方が実現しやすいと思う。
そのために、ブレスが入っても良いと思った。
フォルテの高音は絶対に力まないで、8分くらいの声で美しく処理して欲しい。
このためには、中音~中高音域の発声で、もっと声帯の開いた息の混ざった響きを実現出来たい。それは、歌詞発音をもっと良い意味であいまいにすることも、発声に関係あることである。
次にLa fee au chanson
可愛らしく活き活きとした歌になった。また、とても明るく、また素直で純真である。
「祈りながら」でもそうだが、本当に歌が純であり、この曲の良さが活きている。
特に8分音符は、はっきりと意識して粒だてると良いだろう。
最後にモーツアルト「後宮よりの遁走」コンスタンツェのアリア。
3回くらい通しただろうか?
声が温まれば温まるほど、最高音域が柔らかくなる。
だから、後は声の調子と口の開け方の抑制度、声を力まない加減だろうか。
高音といっても、3点Cから上の声だけなので、後は歌いこみあるのみだろう。
また、3点C以上と言っても、最後のページはほぼ言う事がない。
ちょっとした力みが出やすいところと、そうでない所と分かれるように思えた。
全体的な、曲の印象、声の表現としては、若いナイーブな娘らしい歌が歌えていて好ましい。
しかし、まだまだテンポの設定や、変化は模索したい感じがある。
出だしが思い方が良いのか?早目が良いのか?ちょっと判断が付き難かった。
こういう点がアリアは難しい、と思った。
伴奏が付けば、もっと細かく見れるので、伴奏付きレッスンを待ちたい。