TMK
今日もたくさん歌った。
プーランクの新しい曲を持ってきた。
まず、アポリネールの4つの歌曲から、Carte postaleを。
テンポ設定は、指示通りより遅くても彼女の歌声はとてもこの曲には良い雰囲気を出せる。
あるいは、少し遅めの方がこの曲は活きるかもしれないが、いずれにしても合っていると思う。
次に、エリュアールの5つの歌曲から、Rodeuse au frond de verre
これも素敵な曲だが、声域が低いために、声が活きない。
あるいは中低音に特化した声の出し方を覚えれば、良いかもしれない。
今のところは、中高音~高音が彼女の純で真っ直ぐな雰囲気を良く表せると思う。
Ses yeuxという言葉が出てくるが、とても大切な言葉であり、音である。
特にYeuxの発音には注意して欲しい。
ドビュッシーのDe soir
これも、やや高い声が難しいが、声域と雰囲気が合っていて好ましい。
しかしこれは、ピアノが難しいので、伴奏付きでレッスンしたいところである。
その方が彼女も音が取り易いだろう。
そして、フォーレのEn sourdineを。
オリジナルキーで歌ったが、これもプーランクと同じで、少し低いか?
歌う方にしてみると、歌いやすいと思うが、やはり中低音の声の響きが今一歩の感あり。
試みに高声用で歌ってもらうと、やはり良いと思う。
最後に再度プーランクから、エリュアールのCe doux petit visageを。
これは、私が選んだが、やはりぴったりで、抜群に良い。彼女の歌声の魅力が充分活きるのである。
そして、前回も歌った、マックス・ジャコブの5つの歌曲から、Cimetiere
これも、私が大好きで選んだが、実に彼女に合っている。
そして、Fiancaille pour rireから、Dans l’herbeを選んでみた。
彼女の歌声にはピッタリだと思うが、本人高音の自信がないとのことで、却下。
結局、この曲集からViolon とFleurを2曲。
そして、Ce doux petit visageとCimetiereの合わせて4曲で決まった。
FA
発声練習は下降形から始めて、5度や3度5度のアルペジオを練習。
声は2オクターブ近い音域で、声が下手に裏返らずに、満遍なく良く出るようになった。
また、そのまま下降していくと、元の音域に戻れるようになった。
しかし、声がまだ完全にお腹に付いていないというか、喉から上になってしまう傾向が残る。
これは、ブレスの方法と声の出し方、すなわち、ブレスで声出しの準備が出来ているかどうか?
そして、そのブレスで腹筋を使っているかどうか?
という点である。
上述の方法がうまく行った時の感覚というのは、ブレスの際に、胸に息が入る感じではなく
ただ、横隔膜を使うために、腹筋を拡げる、あるいは胸郭が拡がる感じであり、その状態で
声を出すと、自然に息が声と共に出せるようになる感じである。
曲はシュトラウスの4つの最後の歌から「眠りにつこうとして」
出だしの声は深いブレス、深いポジションを意識して欲しい。
また、この曲に限らずなのだが、特にウの母音の発声をそろそろ覚えて欲しい。
高音域は別だが、出しやすい音域では、ウとかUウムラウトなどで絶対必要な母音の発声をマスターしてほしい。
それは、口の形を決めておいて、声だけ出すのではなく、
口を突き出す動きそのものが、発声に関与している、という方法である。
それから、大分改善されたが、開母音では、まだまた上顎や上唇をを使った発声法も覚えて欲しい。、
彼女の場合、要するに唇の使い方がまだ足りない(硬い)ので、発声では相当唇を使うことを覚えたほうが良いと思う。
最後に「夕映えの中で」
ここでは、根本的なことよりも、現実的な対処を練習。
単に、声を出し過ぎないこと。しかし、最低限支えのある声を意識することである。
喉で鳴らし過ぎないこと。そのために、良く開いた喉で柔らかく声を出すこと。
それは、特に中音域の出易い音域で大切である。
それは、この曲の音楽が静かで安寧に満ちたものだから、何となく声を出していると、
今の発声のままだと、少しうるさい音楽になってしまう。
根本的なことは、時間がかかるが、現実的にもっと音楽に耳を傾ければ自然に、そういう声で歌えるはず、ということである。
発声の基本は時間がかかるが、身体を使うこと、常に身体の状態に集中すること、を基本にこれからも対処して頂きたい。