TY

発声練習は中低音だけにした。
低音が出にくくならないように。
とはいえ、それほどの高音を出すわけではなく、彼女は勢いが良いので、締まった高音で思い切り出すことが、低音が出にくくなる原因になるからである。

高めの声を何となく喉で思い切り出してしまうと、喉が締まって声帯も痛めやすいだろう。
それも低音が出にくくなる原因なので、意外と中高音の発声をきちんと知ることは大事なことなのだ、と思う。

声は元気が必要だが、思い切り出すだけではなく、丁寧に、また大切に出すことを覚えて欲しい。
特に出やすい高めの音は注意をして欲しい。

コンコーネは16番と17番。
16番は復習。17番は階名で譜読みとなった。
ここでも、特に16番は、譜読みが出来たので、この曲の中の高音域の声の扱いに着いて教えた。

K-Ra-Zy for youのいくつかのナンバーは、どれもリズミカルだったり、低音の多い曲である。
以前も言ったが、ラブ・バラードみたいなゆったりとロマンティックに歌うのではないので
このBobbyというキャラクターから考えても、演技力が強く必要な歌になるのではないだろうか?

綺麗に歌うことではなく、言葉と演技を前面に出すことで、必然的に声でも出てくるだろう。

声の勢いや輝きは、発声法よりも、そういう役柄の研究と、言葉の演技で自然に出るもの、と考えて歌ったほうが良いと思う。
それが出来た上で、喉が調子悪くなったり、思ったように歌えないのであれば、そこで発声法は、、となるのである。

HA

今日は良い声を聞かせてくれた。
特にIntorno all’idol mioの中声用は、何ともふくよかで色気のある良い声であった。
いつもの彼女のうら若い女性の声よりも少し違って、何ともいえない色気のある中低音の声が良かった。

ただ、時としてブレスが足りなかったり、フレーズの終わりが揺れることが気になった。
O mio babbino caroを歌っても、高音の処理が上手くなって、問題ないのだが、時としてフレーズの終わりで声が揺れたり、特定の音域で声が揺れるのが気になる。

前からそういう傾向があるのだが、フレーズを歌うときに、お腹が固くなり過ぎていないだろうか?
少しで良いのだが、常にお腹がフレーズと一緒に動いていること。
それは、緩んで行くのではなく、自然な緊張に向うように、である。
だから、最初に一気に固くすると、後では動かなくなってしまい、息がなくなると、必然的にお腹は震えてしまうだろう。

声の出し始めで息を吸いすぎないように、というのは、そういうことも関係ある。

また、最後に少し確認してみたことだが、出し難い音域、2点C或は1点b辺りの声で、無理に押すと、声が揺れる要である。
押さないこと、そして出し難い音域は、口の開け方、すなわち喉や軟口蓋の扱いに注意して、調節することである。

GE

今日は発表会語1回目ということで、新しい曲を持ってきた。
イタリア古典から「アマリッリ」
これは、彼には丁度良い課題であろう。
高音といってもそれほどではないし、また怒鳴らないで済む曲調である。

出だしから喉が上がらないように、気をつけながら歌って行く。
特にフレーズの出だしで、やや高めの音域を気をつけること。
そして、低音域は低音域で、深く良い声を出すように、中途半端な声にならないように。
ただし、低音域は声質だけ気をつけると、今度は音程が下がるので、軟口蓋とのバランスを大切に。

最後のフレーズは1息で歌えるのが良いだろう。

シューベルトは「冬の旅」から、2曲。「おやすみ」と「道標」
この曲も後のもそうだが、シンプルなメロディであれば、あるほど、言葉の内容が空虚になると、歌も空虚になる。
くれぐれも、歌の内容をきっちり把握して、歌詞を歌う原点を大切にして欲しい。

AC

発声の声は少しかさかさっとしていて、いつもの様に脱力している、といえば言えるのだが悪く言えば、何も意識していない感じ。

歌でもそうだが、特に共鳴の出し難い(感じられ難い)低音域、ト音記号の5線で言えば1点bから
下の音域は、母音の意識、そのための口の使い方による、喉から軟口蓋にかけての開き方を意識して共鳴するようなポイントを常に見つける意識と努力がもっと欲しいところである。

理屈ではなく、確かに強く出すと喉を締めることがあるが、かといって出さないとこの共鳴は得られ難いだろう。
それは、喉というよりも呼気の強さ、と思うこと。
締めないためには声帯を微妙に開く、すなわち息を混ぜる感覚が必要だ。

また、こうも言える、声帯で振動する感覚ではなく、声帯を通り越した呼気が、鼻腔の共鳴体で初めて共鳴して響きになるという感じも持つのである。

いずれにしても歌の中では、母音のみが便りであるから、母音を意識してしっかり歌いこむことだと思う。

今日は発表会で歌った、フォーレのSoir,Arpegeを練習して、最後にAu cimetiereを譜読みした。
例えば出だしのHeureuxの母音は、Heuというローマ字読みで言う、エウとい二重母音が単母音発音化したものだ。
だから、同じ短母音でもエの要素は大きいのである。

後はフランス語の特にリエゾンの問題。Meurt iciはしないこと、は大切。
フォーレの新しい曲など、指示して終わりにした。