FT

今日は通して、高音の課題が残ったが、逆に課題をクリアする要素が良く見えたレッスンだった。一言で言えば、身体の使い方の固さ。
良い意味で、ブレスをもっと意識すべきだろう。

Preghieraでは、最後の1点Aの高音が決まらない。喉が上がってしまうか、上手く行っても途中で支えが外れてしまう。
観察していると、そこに至るまでに身体が固くなって、ブレスが少ししか入れられていないから、必然的に支えが弱いか足りなくなってしまうのだと思う。

これは、そこのブレスだけの問題ではなく、1曲を歌うということの、大げさに言えば設計図の問題と思っても良いだろう。抜くとか抜かないとかいうよりも、最高音に照準を置いて、どうしたら、そこに至るまで、身体を固くしないで、かつ喉に負担のないように歌い繋いで行くか?
と言う辺りの研究が必要だろう。

一例を挙げれば、例えば響きは高く、というと喉まで高くなってしまうこと。
響きは高いが、喉は開いているのである。
喉が開いているのは、あたかもギターの胴に穴が空いているのと同じ効果だと思っていただきたい。
喉を開くのは、弦を太くするわけではなく、あくまで、自然な共鳴のためであるし、また喉が上がらないためなのである。

今後の課題は絞られてきたと思いたい。

TK

発声の声は、少し温まりが悪く、喉が開かない感じだったが、中低音を中心に練習してみたら、
非常に調子が良くなった。今日は地声はほとんど練習なし。
曲はいつものバッハのカンタータ、6番~8番。

6番は、歌いこみが進んで、声も良く乗り、ほとんど良い。一応上がりにしたい。
7番は、長丁場で、フレーズ毎に練習をした。
音はきちんと取れているのだが、発声との関係で音程感がはっきりしないことがある。
特に転調して、バッハ特有のクロマティックなフレーズで注意。
中低音が♭にならないように、気をつけたい。

それから、リズムも流れないように縦のリズムラインを丁寧に感じること。
8番は、ピアノ伴奏がかっちり付けば、更に良い練習が出来ると言わざるを得ない。
なぜなら、修飾的で流れるような伴奏形に対して、歌の旋律は確かに修飾的だが、非常に器楽的な正確なリズム感を
要求されるから、である。

そろそろ、伴奏を付けて練習したい。

WH

軽く発声をやってから、ベッリーニの「清教徒」Son vergin vezzosaから始めた。
概ね問題点はクリア出来てきたので、声の扱いを中心のレッスンとなった。
前回の問題をクリアしてくるところは、なかなかである。
声の課題は、この頃いつものことだが、頭声とその下の声区の声の混ざり具合の問題に尽きるだろう。
高音が続くと、頭声の響きだけが勝って音程もやや上ずる傾向が。
高音域と中低音域の切り替えがもう少し効くと良いのだが。
また、高音の響きは舌が奥に入り過ぎないように。

シャモニーのリンダは、レシタティーヴォは、急ぎすぎないで落ち着いて。
アリアは、こちらも譜読みとしては良い。
後は、声の処理。後半の盛り上がりの高音が、少し喉が締まって細くなりすぎる。
落ち着いてブレス、準備を大切に。

これからも課題だが、身体の扱いがまだ硬いように見受けられる。
下半身をしっかりと、その上で上半身、特に肩や胸を力ませてコチコチにならないように、工夫、注意して欲しい。

最後に、パーセルのEvening hymneを。
高音ばかりガンガン歌った後なので、やや喉が締まり気味で、最初は中低音が出なかったが、少し練習したら直ぐに戻った、というところが良いところであろう。
この曲は中低音のつやのある声が必要なので切り替えを意識したいところ。
中間部以降に繰り返し出てくる、特徴的な繰り返しのメリスマはリズム感を大切に。

MM

発声のコツは大分判ってくれているようなので、こちらも大分楽になった。
後は、バランスをどう取るか?という辺りの馴れだろう。
それは、やはり2点C~F辺りと、高音の喉の問題。

もう一点は、彼女に固有の問題だが、発音をはっきりさせることで、必然的に上を開けることが出来るだろう、と思っている。
発音をはっきり、という意味は、子音の処理の仕方と、そのことの結果で母音を「響かせよう」という具体性である。

上を開かせるのは、表面的に見れば、頬の使い方や口の開け方や、あるいは唇の使い方、というようにも言えるが、そのことの原動力は、発音である、という考え方に立てば、根本的なことであるという意味が判ってもらえるだろうか?

以上のような観点で、今日の3曲を練習した。
トスティのO dolce seraは、最初は中低音が深過ぎてモコモコだったが、注意したら直ぐになおった。エの母音で歌ってから、同じ響きでアに変換してやり、その後歌詞で歌った。
これで、イタリア語の語感が出せれば言うことがないのだが。。

トスカのVissi d’amoreは、Majorになってからの、歌い方と、最後の高音。
この曲の場合は、明るく高く響かせる、というよりも、歌詞を力強く(悪く言えば大げさに)
芝居風朗読調、という感じに語って欲しい。
後は、最後の高音は、喉が上がらないように、口を縦に充分開けて、上と下の最良のバランスを探して欲しい。

最後のフォーレの「ラシーヌ讃歌」は、これこそ発音!だと思う。どの言葉も大切に言葉を扱う意識を育てて欲しい。