NS
発声練習、アで上向5度スケールで昇っていったが、一瞬、え!と思うほど、良くなっていた。
特にいつも出し難そうに出している、中音域が、すんなり滑らかで、声のレベルのが真っ直ぐ平らに高音まで繋がっているのが驚きであった。
そのまま昇って高音2点hまでだったか、まったく問題なく、声の調子の良さが伺えた。
母音発声そのものの基本的なところは、本当にもう言うことはないくらいである。
曲はフォーレのChanson d’amour
歌いだしてみると、発音がやはりどうも違和感が残るものだった。
色々考えてみたが、やはり自分が歌ってみせて、どういう発音、とか語感なのか?
理屈ぬきで真似してもらうのが良いと思った。
結果的にそれが良かったのだが、本当はその辺を自身の感覚で出来るようになって欲しい。
この辺りも、今どう説明すれば判りやすいか?考えてみたけれど難しい。
やはりこればかりは語感であり、それは経験と馴れで会得して頂くしかないと思う。
このChanson d’amourは、この語感が活き活きしていないと、どうもぴんとこない歌になる。
ので、うるさいことをついつい言ってしまう。
しかし、あるいはテンポ設定か?どうもこの曲は悩ましい。
もう少し研究してみたい気がする。
次にSylvie
こちらは、Chanson d’amourのような難しさはない。多少気になったのは、歌詞が不明瞭な印象があっただけで、
歌詞の発音がクリアに処理出来れば、言うことはないくらい良く歌えている。という印象が残った。
例えば、Uの発音が開きすぎていたり、Tuのyの発音がほとんどUに聞こえる、といったことはあるのだが、不思議とこの曲に関しては
それがディテールの問題として感じられるので、あまり気にならないのである。
最後に「サムソンとダリラ」Mon coeur s’ouvre a ta voix
有名なこのアリア、今までこちらで何人か歌ったのを聞いたが、彼女の歌はレベルの高いものであった。
メゾソプラノとしてこのアリアを歌うに充分通用する声を持っている。
その上で、表現として激しく、がつがつと歌詞を歌う部分と、ロマンティックに歌い上げる部分とのメリハリがはっきり付くと良いだろう。
いろいろと、声楽の研究上の悩みがあるようだが、彼女の場合、私の考えでは声そのものをこれ以上追求するよりも、
歌詞を歌うこと、の意味をもう少し掘り下げてみることが、バランス上からいっても大事だと思う。
声楽は歌詞だけではなく、やはり声の器楽的な扱いも大事だが、これもバランスであると思う。
ある時期、バランスを考えて、また再び、声の器楽的扱いにバランスを置いて、という積み重ねの、方向の違いはまだ
これからもあるだろう。
そういう意味では、現在は歌詞の扱い、すなわち外国語であれば、言語の研究を掘り下げることはは当然だし
日本語であれば、朗読を含めて「語感」を持つためにどういう勉強をすることが大事なのか?考える時期ではないだろうか?