AY
前回、喉を少し痛めていて不本意な結果になるレッスンだったが、今日は絶好調だった。
恐らく彼女のレッスンの声としては、今までで最高と言えただろう。
発声のツボが抑えられて来ている、と感じた。
ブレスが足りない、声量が出ない、高音が伸びない、全ての原因は声の当り具合という印象が最初からあったのだが、そのポイントが見つかるのに3年かかった。
声が低音の声区と中間の声区が上手く融合してきたことが、最大の成果。
歌っていると、地声で歌うくらいに声帯が合さっているのだが、適度に開いているから、息の力で伸び縮みできる、という感じ。
また、適度に共鳴も付いているので、驚くほど声量が出てきたのが最大の収穫。
2点C~Fの間は、相当声量が出せるようになった。
低音の練習を相当やったようで、自然にまた時間をかけて真面目に取り組んできたことが、今日の成果に繋がったのだろう。
この調子を、先ずは定着させて欲しい。
ここから上の高音域は少し細くなっていくが、これから馴れて行けば問題はないと思う。
曲も、好きで練習してきたモーツアルトのケルビーノ、スザンナ、ツェルリーナの2曲、そしてデスピーナUna donnaドラベラ、最後にContessaのPorgi amorと6曲続けて練習した。
一番良かったのが、ケルビーノのVoi che s’apete、次にスザンナのDeh vieni non tardar
ツェルリーナは、最高音云々よりも、平均して中高音が続くのがやや難しいのと、キャラクターだろうか。
ただ、歌いこみが進めば変わる可能性があるから、トライする価値はまだまだあると思う。
今日のレッスンで確信した。
NA
フォーレの「閉じられた庭」から5曲目までを練習。
1曲目から、喉が冷えていたせいもあるが、低音が潜るので、上顎から上に発音するように。
教えると直ぐ出来るので、これは常々実行して欲しいところ。
他の曲、特に5曲目も低音が続くが、この低音域の発声、高く響かせるコツを大切に。
2曲目もリズム感がとても良くなって、フレーズ感も出てきた。
3曲目は、ピアノが上手くないので全体を見れないが、問題なし。こちらもリズムが明快になった。
4曲目は、ピアノを弾いてみるとシンコペーションで、歌とピアノとの関係を保つのが意外と難しい。
これは歌手だけの問題ではなく、ピアノと歌とのアンサンブルなので、今は何とも言いようがないが、歌手は伴奏を気にしないで、なるべく自分の歌を歌う、いわばアンサンブルをしようと意識しないほうが良さそうである。
ただし、ある程度の正確なリズム感は必要だが。
彼女の中低音は、なかなかノーブルな声質で、フォーレのシックな音楽が良く活きる、と感じた。
フランス語の歌唱発音も大分こなれてきた印象である。
本人ご所望で前回も練習した、サン・サーンスのヴォカリーズから。
声そのものはとても良い。高音も柔らかく美しい高音。
低音の下降形は、響きと音程感に注意。響きをくれぐれも落とさないように。無理に速くしないで正確な半音階を丁寧に出そう。
後は、全体のリズムの骨格はしっかり持つこと。現状ではビートが無さ過ぎるので、基本テンポを8分音符で76くらいにしておいて、
後半の最後のLentoを尊重するようにすれば、同じRossigolでも元気なRossignol、最後の眠くなったRossignolという感じが出て美しいと思う。
モーツアルト「後宮よりの逃走」からコンスタンツェ
特に最高音はよく練習した成果が出て、軽やかで美しい高音に成長したと思う。もうほとんど心配はない。
後は、伴奏合わせでテンポ感、走り過ぎて転ばないように、など注意点は出てくると思う。