TK

このところやっている、バッハのカンタータを練習。
彼女の歌声の持つ爽快な勢いとバッハのバロックな音楽の相性がとても良い。
特に10番のメロディと彼女の声のつぼがはまって気持ちの良い歌声が聞けて快感である。
ドイツ語の発音のコツと中低音域の響きが♭にならないよう、低音ほど、頭に向けて開いた声を
意識するように。
中高音~高音の声はとても良い。
9番は全体に音域が低いが、このところの発声練習の成果が出て、充分良く判る歌になっている。

11番のコーヒーカンタータは、声の扱いはとても良くなった。高音に無理がなく丁寧である。
フレーズの中で低音に降りる過程で、響きがフラットになる傾向は、気をつけよう。
概ね、声を落とさないで高い響きのままでフレーズすることである。
あるいは、低音ほど頭で響かせるように。
こちらは、もう少し練習が必要である。

HA

声に元気あり。とにかく歌が好きで、一所懸命さ、みたいなものが好感を持てる。
また、何か演技的な要素を持っていて、歌うことへの集中や積極性がとても良い。

ただ、発声としてみると、やや力みが感じられる。
特に上半身がガチガチに硬くなっていて、息を強く使うために、余計力をためて
硬くなるのではないだろうか?

立っている脚を見ていると、両足で踏ん張って頑張っている、という感じ。
必要なことだが、力みすぎないでやってみることも、大切である。

腰がストンと重心が落ちていれば、脚自体は、むしろ膝がゆるゆるしているくらいの
立ち方のほうが良いのである。要するに電車でつり革をつかまらないで立っていても
揺れに対して柔軟に対処できるような、立ち方、といえばイメージできるだろうか?

息を一杯吸って、その一杯吸った息を目一杯使う、という感じがあるが、
それよりも、息を無駄遣いせずに、1つのフレーズの中で効率よく、滑らかに丁寧に
使いまわす、ということを覚えて欲しい。
その為には、どちらかと言えば、歌をクールに扱う方向を大切にすると良いだろう。
Col ritornar del dolce aprilは、テンポ感が乗れればとても良い。
最後のカデンツは、特に最高音を喉で当ててしまう点、注意。
息の力で廻す、フレージングで結果的に高音3点Cが出るように、注意を促したい。
フォーレのリディアは、とても良かった。一部フランス語の間違い、を直したに留まる。

SM

今日も良く練習出来たレッスンだと思う。
少し厳しいかもしれないが、今きっちりやっておけば、先々更に良くなることが目に見えるからである。

今日のトピックで大きいことは、発声そのものとか声質そのものよりも、歌う際のある種の癖を直すことが大きいと思った。
特に、声のアタック(入り)を丁寧に、あるいは瞬時に声を出すという器楽的な扱いであろう。
気をつけることは、アタックでずり上げて入らないこと。
無意識だと思うが、一発できちっと入るように。特に出しやすい音域は起き易いだろうか。

ある種の曲などでは、アタックでわざとポルタメントをかけたほうが良いスタイル的なこともあるが、これは基本ではない。
ポルタメントは自然と言えば自然だが、ポルタメントはかけないで、器楽的に歌うことを基本として覚えたい。

曲はドビュッシーの「2つのロマンス」そして「放蕩息子」
いずれも、声そのものではなく、歌唱の中でのちょっとした扱い、そして言葉の扱いが中心。
結果的に声にも関係あるが、発声そのものは良い方向に来ている。
低音も息漏れがなくなり、確実になっている。
何より、こちらが要求していることをほとんど忠実に実行してくれているのが判るし、その意味が判って来ているようである。

MM

今日の記憶では、ずいぶんと良い声で音程も良くなって歌えていた印象が強かった。
モーツアルトも、このところの続けたレッスンのせいか、1回目からほぼ問題なく全篇を通して歌ってくれた。
最後の1ページくらい、高音が続くために息切れ気味もあるが、ちょっとしたコツ、馴れでそれも克服出来るレベルであろう。

発声のコツ、こちらがお願いしていることは、ほぼ理解出来てきていることが判る。
後は、もう少し響きの場所が奥に入ったほうが、声質自体が良くなる、ノーブルになる、というところだろうか。

高音は、時として良い共鳴の声が出ているし、本人も自覚があるのだから、後は応用問題であろう。良い高音の響きが判るのであれば、その時の母音、口の形、感覚から、他の上手く行かない場合にも応用すれば良いのである。

メンデルスゾーンの歌曲は、上述の発声の基本が良いのだが、やはり母音の響きとして下顎ではなく、鼻腔の響き、上の響きだけで
処すること。
アイウエオ的な日本語的な母音の感覚は排して欲しい。
声を出そうと言う頑張りではなく、響きを一定にして、ということは母音の響きを一定にして、綺麗にメロディーを紡ぐ感覚を大切に。

ショパン「別れの歌」のリート版。フランス語だが、オリジナルがフランス語向けではないので、音符割がどうも変。
その辺りを直して、フランス語らしく歌う点を練習した。
声の響きはとても良い。響きはドイツ語を扱う時と同じく、母音の形よりも響きを大切に。