NS

発声練習は母音で、下降形で2点Cから始めました。
その後、上向形、5度と3度、5度のアルペジョで終わりました。

フォーレのEn sourdineから。
テンポと声の関係で、予想以上に軽い音楽で、どうも馥郁とした香りに欠けてしまいます。
決して退廃的で良いというわけではないですが、声の響きが微妙に軽すぎました。

一つは、音程を声にする過程で、高いピッチだけに意識が行き過ぎて、結果的に声帯が伸び切らない軽い振動で声を出してしまっている、感じです。
たとえて言えば、ピアノでもギターでもバイオリンでも良いですが、弦楽器の弦を良く張らないで、端っこを軽くピンと弾いて済ましてしまっている感じです。

音程を下側に意識してみました。
たとえば、出だしのCalmesの音程は、Fis durの第3音。そのまま意識しないで、むしろこの主音のFisの響きを出すポジションで、このCalmesを歌いだしてほしいのです。
たとえば、次のDans le demiと上がる、4度の跳躍で喉が上がらないように、かつ音程が♭にならない出し方を意識しましょう。
そうすることで、良い意味で太い弦をきちんと張って、かつ弦の中央をきちんと弾くように、声の響きが出せるようになるはずです。

今日のレッスンは、このことに尽きるでしょう。

C’est l’extaseは、テンポを思い切ってゆっくりにしました。
ゆっくりにして、この発声のつぼを拾い易くしてみました。

この曲はゆったりした中に、静かさ、軽やかさ、そして熱を帯びて行く過程から頂点へ達する、静かな興奮があります。
この静かだけども、興奮に達して行く過程を、微妙なテンポ感の伸展を良く感じて、歌ってほしいと思います。
前述の、適度な重さのある声質と共に、この微妙な伸展を感じさせるテンポ感の興奮を、ピアニストさんと作り上げてほしいのです。

次にデュパルクのL’invitation au voyage 出だしから声が暗くならないように気をつけましょう。
ここでも、高音がひっくりかえり過ぎないように気をつけましょう。

最後にホフマン物語からAntoniaのアリア、Elle a fui, la tourterelle
出だしのフレーズ、Elle a fuiから2点FのLaに飛ぶ、跳躍で、声が帰ってしまうのを、留めて芯の残る高音で対処する方法を教えんました。
上がる瞬間に下顎を弾くようにしながら、上あごでかぶせるように発音。
このことで、喉が上がらずにかつ軟口蓋が上がる発声に対処出来ます。

この応用で、後半の最高音に昇るフレーズも練習をしました。
相当首の支えがしっかりしていないと、出来ないでしょう。
後はひたすら、喉が上がる前に2点Aにアタック出来るような、タイミング、下顎の対処、軟口蓋の対処、となります。
練習あるのみなので、喉を壊さないように練習を重ねてください。