音符を歌うのと、言葉を歌うのとの違いって何でしょう?
もちろん音符を歌うのだけど、声になって表出されるフレーズは、もう言葉の抑揚の形になっているのが理想だなと思います。
いわば、音符はそのフレーズの骨格で、表に出てはならない存在とも言えるでしょうか。
わざと音符を出すという歌い方もありますが。
たとえば、家でも柱や梁、土台は重要な家の骨格ですが、わざわざ表に出す建築は一般的ではないでしょう。そういう建築もあるけど、イレギュラーですね。
壁を張って、ペイントして、そうやって穏やかな綺麗な建築の形が出来てくるでしょう。
ということは、言葉の抑揚を知っていれば、音符という骨格に対して相応しい壁や塗料やかわらの形などなど、作ることが出来るのではないでしょうか。
いわば、歌詞という歌における言語は、建築における建築全体のフォルムを意味していると言っても過言ではないと思えるほどです。
設計家は、建築をデザインするとき、おそらく土台や建築方法という知識を無意識にイメージの中にすえながら、全体的なフォルムを考え出しているでしょう。
声楽演奏においては、全体的な音楽のフォルムがどのようなものか?というイメージを作るために、言語の教養や知識、そして身体に備わった感覚が必要になってくると思います。
このことを、「語感」と呼ばれるものと思っています。
ここでいう、「語感」とは、単なる伝達手段としての言語能力だけではなくて、言語の音楽的な形を理解して普遍的な表現を実践できる能力、と言えば良いでしょうか。
そのための一番良い練習方法が歌詞の朗読ですね。
歌を趣味とする皆様にはぜひともお勧めしたい、歌の上達方の一つだと思います。
朗読のすすめ
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