アストラッド・ジルベルト
フランス歌曲、フランスの音楽に染まるきっかけになった原点が、このアストラッド・ジルベルトで知る所となった「ボッサ・ノーヴァ」
Major 7thのコードが多用されていて、どこか未解決なあいまいな雰囲気。
そして、ビブラートをかけない、クールな歌い方。
見方によっては単に下手、としか思われかねないきわどさがが売り物だが、
実はこれもボッサ・ノーヴァ(新しいコブ、隆起の意)の大きな意味があったのだと思う。
クラシックでも、ベルカントの良く響く歌声は、声帯を使い切る歌い方たのめ、ビブラートが大きい。
ボッサ・ノーヴァが出来る頃までのブラジルの大衆音楽でも、歌といえばラテン系らしくベルカントと同じく「熱い!」歌い方、ビブラートの大きい濃い歌声がもてはやされていた。
その主流に反したこの歌い方が、歌としてボッサ・ノーヴァを決定的に印象付けたと言えるだろう。
中学校1年くらいだったか、誰が買ったのかう家のレコードを入れる棚に、このアストラッド・ジルベルトのシングル盤があった。
表が「おいしい水」裏がこの「夢見る人」だったのだ。
文字通り、夢見る少年だった自分は、この音楽を聴いて、音楽が表していた豊かな生活に憧れた(笑)
いや、当時流行っていたアメリカ製のドラマ「奥様は魔女」で、ダーリンがタキシードを着て
ホストを務めるホームパーティの世界をイメージしたのだった。
アメリカってなんて豊かなんだろう!と思ったものだ。
春先の沈丁花が香る頃、良く父の蓄音機で、このレコードを聴いたものだ。
目をつむってこの音楽を聴くと、今でも心は中学一年生。
瑞々しい少年の心に戻る・・・・