プーランク、1949年作曲のピアノコンチェルトの第一楽章です。独特ですねぇこの曲の味わい。
口当たりの良い食べ易い料理だけど、妙にひっかかる部分がある。
一流とは言えない要素が感じられるが・・・かといって二流か?と問われると、そうとも言えない。
日本式クラシック音楽教育に洗脳された耳には、どこか軽薄に感じられるところがあり、
「好いですねぇこの曲・・・」なんてあまり大きな声で言えない・・・みたいな感じ(笑)
私の見立ては2つです。
1つ目は、アメリカ人好みにわざと作ってみた。(実際、ボストン交響楽団のために作った)
戦後のクラシック音楽界は、音楽マーケットがアメリカ志向になっていたこと。
ガーシュウィンと仲良かったラヴェルのト短調のコンチェルトの第二楽章の影響があるし、フォスターのパロディもあるところからの感想。
2つ目は、プーランクが元々持っていた、敢えて良い趣味に作らないで、わざと甘ったるく仕上げる、彼らしいアート性でしょうか・・・。
回想記に書いているように、子供時代に見た彩色画のけばけばしい絵物語風を回想風に仕上げた感じ・・かな?
彼のこの曲評では「パッシーのパリではなくバスティーユのパリを描いた」(wikipediaから引用)と書いている所からも想像できますね。
色々な意味でプーランクらしい、肩の力の抜けた楽しい音楽。
芸術にしかつめらしい顔をしたり、美学に凝り固まったオタク風趣味から一歩離れたところで、
大衆性を賛美しつつも、貴族趣味を漂わせる孤高の作家ですね!
クリスチャン・ディオールが作曲家を諦めた、と言わせた作曲家の面目躍如!の作品でしょう。