パリ祭ですね。もうほとんど自分に関係ないような感じですが、
もうこの10年くらい、文学作品というものを読んでないです。
一番最近では、村上春樹の「ノルウェーの森」を読みかけて挫折した苦い経験があってから、
特に現代ものは禁断の書として頭の片隅にもおいていません。
そのようなおじさんには、やはり評論とか歴史とか、せいぜいショートショートくらいが
関の山ですが、最近の目から鱗はこれです。

内田樹 「街場のアメリカ論」

フランスのことを知っているつもりが、全然知らない歴史があって、日本との縁や、もちろんタイトルのアメリカ論は、自分も漠然と考えていたことが、更に緻密に論証されているのが、目から鱗でした。
とても感動した言葉・・
「政治的なアパシーや虚無感に私たちの社会は蝕まれていますけれど、その原因のひとつには左右両翼の歴史家がこれだけは共有している「歴史に『もしも』はない」という自由で創造的な推論に対する強い圧力にもあるように私には思われます、でも、歴史という舞台の上では誰もが
「決められた台詞」を言うほかないというニヒリズムはほんとうに不可疑の心理なのでしょうか?私にはそうは思えないのです」(引用)
これはぜひとも日本が好き!と言う者も、日本を悪しざまに言う自虐論者も読んで頂きたい面白い本です。
もともと著者も断っているように、学問的には「素人」の遊び的仮説なので、肩が凝らずに読めますよ。