波の盆
優しかった両親と、仲の良かった兄弟達。
暖かくてつつましい食卓。
心の中を満たした安心。
みんな夢のように潰えてしまった。
白蝋のようになった子供時代の家族の記憶。
ぼくの心には、そんな記憶のわずかな手触りだけが残っている。