本題に入る前に・・・発声でよく言われることですが、余計な力を入れてはいけない、と言っても、入れ方、使い方が未完成な時点では、無理な面もあります。
基本的に声を出す、ということは、とても力の要る作業だと思います。
発声の世界で、古来良く言われている、力を入れてはいけないのは、余計な力のことです。
この典型が舌根です。
喉仏の上の方、カーブを描いて下あごに続くあたりを下に向けてもっこりと、力を入れて発声することです。
ここは、舌根ですから、発声で喉仏が引き下げられたり引き上げられたりすることに拮抗する力を出しますので、完全に脱力はできません。力が発生することによる硬さは生まれます。
しかし、意識してここを固くして喉を下げて歌うこと=腹から声を出して歌う、と思っている方が結構多いのには驚きます。
喉を下げることの意味は、ここでは書きませんが、基本的に声楽の呼吸法がある程度確立できているとするならば、それだけで喉を下げる必要の50%は出来ていると思ってよいでしょう。
後の50%は、歌詞発音そのものに関係があるでしょう。
また、極端に言えばこうも言えるでしょう。
もし本当に正しい姿勢で発声出来れば、発声の諸器官は、それだけで十分に良い声を発揮出来るでしょう、と。
そう言いたくなるくらいに、人の声、発声というものは、正しくない、いわばねじ曲がった状態で使われることが多いものなのです。
歌っている時の姿勢を仔細に観察すればわかることですが、まず、真っ直ぐに立てていない。
あるいは顔が首より前に出て歌っている。
あるいは、背中が曲がっている。
腰が出尻になっている。胸が落ちている。などなど、挙げればきりがないでしょう。
もし、これらの条件が正しくあるならば、歌おうとしただけで、ほぼ問題のない発声の働きをするように、人間の体は本来出来ているのです。
と言っても過言ではないくらい、姿勢は大切なのです。