発表会が終わって、もう1週間になるのですね。プライベートは猛烈に忙しく、この講評をアップするのが遅れてしまったことをお詫びいたします。
今回は、花粉症のくしゃみから腰痛が出てきて調子が出ず、体調に不安を抱えたまま迎えた発表会となりました。
しかしながら、お手伝いの方々も駆けつけてくれ、無事に終了することが出来、私もほっとしています。
そして、いつものことながら、遠いところをわざわざお越しくださったお客様の皆様とお手伝いの方々には、心より感謝申し上げます。
また、わたくし、飛び入りで、プーランクの「変身」3曲を歌わせてもらいました。
気持ちよく歌わせていただき、拍手までもらって感謝です。
これについては、またムジカCジャーナルで・・・

皆さんの歌は、安定した演奏が出来て、聴いていて心配になることはほとんどありませんでした。
長く続けてきた方は、未解決の課題はあっても、安定して音楽を伝える演奏が達成できていたことを感じました。これが大きいです。
また、初めて出演された方は、真剣な気持で歌おうとするひたむきさや積極性が目立っていて、好感が持てました。
これからも、本番では失敗を恐れず、ひたむきに歌を表現してください。 やり過ぎて失敗したり、やらないで不消化に終わったり、というアンバランスを何度も経験しながら、本当の良いバランスを身に付けて行くのだと思います。

ところで、この戦前からある古い会場は、ピアノの響きが変に共鳴しないこと、歌声が直に届くことで、バランスの良い響きだと思います。
不要な反響がないためにすっきりした響きでありながら、木の柔らかさを併せ持った響きですね
残響があれば良い、というものではないという典型だと思いました。

やるたびに、またやりたいな~という気にさせてくれます。 また戻って来たいと思いました。

IC

レッスン時のまま、落ち着いて歌えていました。ヴェルディの「ストルネッロ」は、良いリズム感で、面白さが出せていたと思います。

ドニゼッティの「真夜中に」は、これも表現力の要る難曲をそつなく歌いこなして、安心して聴けました。ツェルリーナは、綺麗に良く歌えていたのですが、少し声が疲れた感じがしました。低音そのものより、高音入口あたりの発声に気をつけると、この点が改善されるのでは?と思いました。発声はまだこれからですから、どうか更に精進を続けられてください。

おめでとうございました。

KR

フォーレの「夢のあとに」は、真剣で誤魔化さない雰囲気と、表現しよう、という積極性が感じられたステージになりました。ジーベルのアリアは、ほぼレッスン時の再現が出来ていました。フランス語の発音も明快だし、内容の表現、間合いが行かされた曲作りがなされていました。良く独習したのだ、と思います。

今後は、発声面で、もっと喉も軟口蓋も開いて、呼気を十分活かした共鳴のある発声を身につけられるべきだと思います。今と同じエネルギーでもっと楽に響くようになるでしょう。

おめでとうございました。

MC

モーツアルトを思わせるロココ風の衣装と、個性的な歌い回しが印象に残りました。パフォーマンス的な面白さを大切にして歌を楽しむ姿勢は大いに結構で、良いと思います。声の使い方も、個性的で、彼女の趣味が感じられました。強いて言えば本来高音がもっと使える方なので、その点をもう少し聞きたかった。今回、急な出演になったため暗譜が出来ませんでしたが、その分、パーセルとモーツアルトの違いみたいなことを、譜面台を使う使わないで表現しても良かったかもしれません。

おめでとうございました。

TF

バッハは伴奏と歌で作る音楽が良く表現されて、音楽の基礎が判るものになりました。ヘンデルは、難しい低音発声、そして跳躍の大きいフレーズを、見事に処理出来ました。中間部のテンポ感も良かったです。中田喜直の「おやすみなさい」は明るくて優しい歌心が感じられてとても良かったです。

声のことは、今回の結果に自信を持って更に進んでください。おめでとうございました。

KR、SM

ラクメとマリカの二重唱

伴奏が音色は丁寧だったため、テンポがまったりとして、しっとりした女性らしい表現になりました。声は二人とも良く響いて、この音楽の美しさ、気持ち良さは伝えられた演奏になったと思います。また、二人とも楽しそうに歌えていたことが、好感を与えていました。

惜しむらくは、もう少し練習時間が欲しかった。二重唱の併せは予想以上に難しいです。

機会があったら、またやってください。おめでとうございました。

SA

声、リズム、歌詞の明快さなどの面でバランスの良い演奏が出来たと思います。

全曲、ほぼレッスンで出来た最善の結果が出せ、安定していました。このような日本歌曲をやることで、歌詞の意味を判って歌うことの大切さが判るのではないでしょうか。そのことから、自然に発声を導き出せるようになることと、発声の基礎をバランスよく勉強して行けることで、結果的に外国語の歌も歌えるようになることが、声楽の理想では?と考えさせられた演奏でした。中低音は深さよりも前に響かせるポイントと、息を発声に関与させることをもっと追究すると良いと思いました。

おめでとうございました。

SM

発声の課題だった低音の出し方の基本は抑えられて、中低音の声が使えるようになりました。1曲目のアーンは難しい低音発声の多い曲想を、丁寧に保って歌い通せました。ただブレスが少し浅かったのが惜しかった。別宮貞雄の「さくら横丁」は、練習よりも声が軽やかで、女性らしい雰囲気が出せた良い歌になっていました。宝石の歌が、テンポの乗りが良く、とても楽しく聞けました。今後に関しては、ブレスの明解な意識、そしてそのブレスで声を支えて歌うこと、を覚えて行きましょう。

おめでとうございました。

WH

アーンの「クロリスに」は、どっしりと落ち着いたテンポ感と、明るく良く響く声で、この曲想の美点を十分に活かした表現が出来ていました。リストも同様に綺麗に歌えて、ほぼ練習時の一番良かった状態で歌えていましたが、最高音のフォルテだけ本番は力んでしまったのが、惜しかったかな。ミカエラのアリアは、全体に役柄に集中した姿勢が感じられた点が、良かったです。そのことで、全体の流れの変化、メリハリが感じられる演奏になりました。今後の課題としてですが、高音発声では、なるべく構えないで音楽の自然な流れで行くことを心がけてみてください。いずれもフランス語初挑戦でしたが、無難にこなしましたね。

おめでとうございました。

YC

中田喜直の「さくら横丁」は、テンポ通り、しっとりした歌の気分が見事に表現出来たと思います。当初より大人っぽい歌になっていましたよ。「オランピアのシャンソン」は、この曲の持つ難しさを、ある面で乗り越えられましたね。指示通りやってくれて、成功だったのでこれは思わず!?嬉しいものでした。「ドレッタの夢」彼女の本来の持ち味が活かせる曲だっので、見事に歌い通しました。3点Cが良い響きでした。本番になると強いですね。練習で見せない表現も出せていました。お見事!です。おめでとうございました。