OM
発声の声を聞くと、中低音がしっかりして来ました。
中低音の響きは、しっかりするのは良いですが、ピッチには気を付けて下さい。
しっかり感や芯をつけることだけに集中すると、今度はピッチが悪くなります。
特に下降フレーズで♭になりやすく、クラシックの歌の時には充分注意して下さい。
また、中低音が分厚くなりすぎると、要するに重い声になるために高音との換声に段差が付き過ぎ、高音がよりファルセット化し易いデメリットもある点もあるでしょう。
高音のファルセット的な開いた響きは柔らかくてきれいですが、それだけだと3点C以上が更に苦しくなる可能性もあると思います。
曲は、武満徹の「歌うだけ」を弾き語りで練習しました。
ピアノ伴奏と歌が、In tempoでしゃっちょこばっているので、もっと自由に歌うことを薦めました。
このようなJazz形式は、楽譜はあくまで基準で、自分のノリを大切に、リズム感良く感情を出さないと伝わりません。
ゆっくり歌う所、速く進んでも良い所、言葉を強調する所、すべて言葉の持っている意味が関係します。
いわば「演技力」が問われます。
そのためには、朗読、それも感情表現を明快に出す、お芝居的な朗読を練習することが効果があります。
また、このような作業を積み重ねると、Popsだけでなくクラシックの歌にも充分応用できるでしょう。
クラシックも言葉を歌う、同じ歌なのです。
ただ、ルールが少し違うだけです。声と云う楽器の扱いが少し違うだけで、感情表現であることは変わりません。
ドビュッシーのNuit d’etoileは、大変綺麗に歌えていました。特に最高音の声は、彼女らしい柔らかさがあり、可憐な乙女の風情が良く出ていました。
この時代の代表的なロセッティの絵のようです。
ただ、発音がまだ未完成です。
語尾のEは、努力していたようですが、そのあまりに強調されたのかもしれません。
強調せずに、軽くディミニュエンドさせる必要があります。
響きとしては、意外と広いこと、前に出さないこと、そして軽いディミニュエンドです。
あと、yの発音が難しいですね。Suisは、スイで代用しても良いと思います。シュイになるよりははるかに良いです。
Je suis Titania
これも、suis など、発音のyが気になりました。
それから、メリスマや修飾は、まだ音程がはっきりしないところが多いです。
このようなところは、テンポを落として、機械的に確実に歌う癖をつけ、音程が明快に歌えるようになってからテンポを速めてください。
歌の調子は一歩前進しました。跳ねるリズム感が良くなりました。
明るさ、テンションも上がって来たと思います。
ここまで来たら、あとは抑えた表現を研究して、ハイテンションと、抑えた表現の組み合わせで、立体的な歌になるように練習されて下さい。