TJK

伴奏合わせ。

小林秀雄=薩摩忠 「瞳」
出だしの声のタイミングとリラックス。主音の響きを前奏から感じた上で、和音構成音になる、出だしの音を
イメージして出ること。そうすることで、声の緊張が取れてリラックスした響きになる。
その響きで歌いだすことが必要な、表現になっていること。
中間部、指示通りテンポが速くなって良いが、速すぎて頑張らないこと。特にピアノ伴奏。
歌い方は詩の意味を考えないで、作曲家のイメージに沿えば良い。

中田喜直=寺山修司「悲しくなった時は」
歌い方、テンポの変化、必要個所の間合いを良く取ること。
歌い方は、歌詞を語る意味を感じること。
そのことで、テンポの揺れや強弱がが自然に出ることを大切に。

いずれも、譜面指示の記号や言葉をその通りにやるのではなく、指示されていることの意味を考える。
作曲家がどうして、そういう指示を出しているのか?ということで、作曲家の詩に対するイメージが理解出来る可能性がある。

Il bacio
この曲は、ひたすら声の技術レベルが全面に出る曲。
今回は全体のテンポの設定を考えた。
声は、発声を考え過ぎないで、もっと単純に楽しく歌うことに意識を傾けるべきと感じた。

SE

Amarilliは、良い歌が歌えているので、更にフレーズ中の長い音符を少し長めに強調するように歌ってもらうことで、この曲の良さを表現したいと狙った。
しかし、これは伴奏の掛け合いの仕方でかなり変わるので、伴奏者の音楽に依存するやり方であろう。

ヴェルディ Non t’accostare all’urna は、良く歌えている。
伴奏のテンポ感と歌い方。
8分音符の刻み和音の進行は、歌のフレージングを導き出すようにすることを大切に。
常に歌のフレーズの流れを考えること。

声のことは一点だけ。ヴェルディのNon t’accostare all’urna の、最後のページの再現部直前のA sordi la foresta?の母音Iを!点Fで伸ばす声。ここだけは、喉を上げないように、下唇で支えて喉を保持して出すべきだろう。

もっと時間があれば徹底指導したいのが、姿勢である。
歌う時に顔が前に出てしまうために、喉で歌ってしまうこと。

逆に見れば、集中して一所懸命歌えば歌うほど、顔を前に出して喉で歌ってしまう。

これは、声を良く出そうとすることが原因である。
喉に依存して歌うために、こういう姿勢になる。

声の響きの作り方を、基本から徹底して訓練すること。
声、という楽器を一から作った上で、その楽器で音楽に集中出来るようになってほしい。

TSS

伴奏合わせ。
ヘンデルのPiangero la sorte mia は、低音の発声が安定して来たと感じた。
ただ、かろうじて裏返り過ぎないよう、声を保っている感じで、完全な安定とは言えない。

そのため、冒頭部分に繰り返してからのアレンジは取りやめとなった。
アレンジでの他の部分は、高音の響きが活かされており、好印象。

La rondineの「ドレッタの夢」は、高音が楽に響くようになったと感じた。
声がファルセット的で軽い気もするが、今は無理しない方向で歌って行けば良いのであろう。
Ch’il bel sognoで始まる出だしの部分の中低音域の歌唱が、口先の声になってしまい喉が拡がっていない感じである。

今日は、全体に安定方向に振ったせいか、声量の伸びがもう一つ。
あるいは息の使い方を抑制したのであろうか。

もし息を使い過ぎないで、声量を出そうとする場合、どうすれば声の響きが倍加するか?
ということを自身で分かれば、おのずと今後の発声の方向性が判って来るであろう。

WN

伴奏合わせ。
マスネーの「エレジー」グノーの「夕暮れ」ドビュッシーの「美しい夕べ」

声の訓練、いつものように声帯を良く伸ばす方向の声作りが基本になった。

収縮した声帯を伸ばすように、マッサージをするようにして声を練習して行くと、次第に血色を帯びた声色が聞こえるようになってくる。

やはり古典的な発声の言葉で云う所の「喉を開く」ということ。
発音の際に、喉よりも更に奥の部分を拡げるような意識で発音すること。
と同時に、軟口蓋も上げないと、音程が♭になるので注意を。
たとえば、声の出し始めを頭ではなく、みぞおち辺りに感じることも、彼女固有の方法論としてとても有効。

もう一点は、声を前に出すこと。
そのためには、口先をすぼめる癖を意識して治すこと。
特に母音がOになると、かなり口先が狭まること。

大事なことは、このようにして変化した声色、発声時の自身の感覚を覚えることにある。
そうではない発声と、レッスンして作った声との違いを、自身が分からなければ再現性を持てないだろう。

特に合唱活動をやっていれば、合唱で歌うこととソロで歌うことの違いをかなり強く意識しないと、同じ歌声になるのは当然である。
逆に考えれば、ソロ発声が違うのであれば、違うソロ発声の方法論から、合唱発声を再構築することも考えられる。

曲では、以上の発声の基本を抑えつつ、発音をかなりしっかり出す方向を教えた。

MM

前回に引き続き、チマーラの歌曲「郷愁」とヴェルディの「運命の力」から「神よ平和を与えたまえ」2曲を練習した。

「郷愁」は、とても良く歌えているが、響きで歌う傾向が強いのか、言葉が前に出て来ないことが表現のあいまいな印象になっていた。
歌い過ぎずに、単に言葉を口から前に出すように歌うだけで、印象がかなり違う。

出だしが2点Eなので、換声を意識して出だすことと、喉や軟口蓋から離れて、口の前で発音・発声する意識を持ってみよう。

「運命の力」も歌いこみが進んで、形は整った。
あとは、要所の発声と、歌詞発音の明快化である。

もっとも良く練習したのが、Invan la paceから始まって、In preda tanto tanto duolの2点Gesの頂点に上り詰めるフレーズ。
なるべく、In predaからのフレーズはブレスを入れずに頂点に達するように。
次に出て来るメッザヴォーチェで出すPaceの2点bは、大分抑制が効いて音程も良くなった。
口をあまり開けず、声を前に押し出さないで、深い場所で当てること。

その後は、風邪の後遺症で、高音発声が続くと咳が出る状態だったので、早めに切り上げた。