久しぶりにモラーヌ師のことを書こうと思って、Youtubeを検索したら、いつのまにか大量の録音がアップされていました。
その中で、愁眉はフォーレの「ある日の詩」だ、と今の私には思えます。
ずいぶん昔にこの録音は聞いていますが、これほど彼がロマンティックに歌っていたとは!改めて驚きであると同時に勉強になりました。
自然なルバートは、必然性があって行うものであって、適当なことをやるわけではない。
必然性とは、やはり詩を理解して言葉を理解して、自分の体の奥底から湧き出てくるものに突き動かされて、ということでしょう。
真似して出来るものではないし、教えられるものでもないでしょう。
この曲の歌声の発音では、狭いEの発音に着目してください。モラーヌの発音処理が、私は最上のもの、と思えるのです。
こちらは、モラーヌ師が他の追随を許さない発音の美しさがいかんなく発揮された名演です。。
ところで、彼の録音の話になると、いつものことですが、実際の彼の声と録音の違いについて言及したくなります。
この違いは正に本物の絵と写真で見る絵の違いです。
生の声は、もっと響きがふくよかに拡散していて、心を豊かな気分にさせてくれる声の響きなのです。
その響き感は正に器楽的、と呼ぶにふさわしいものでした。
恐らく・・・そのことが、彼のファンになるかならないか?という違いを生み出しているかもしれません。
歌声にはアポロ的なものと、ディオニソス的な要素の2つがあると思います。モラーヌ師の唄はアポロ的です。スゼーのそれはディオニソス的。
スゼーは女性に大人気でしたね。それは容姿が影響したのかもしれませんが。。。
久しぶりに聞いたモラーヌの歌声に、再びインスピレーションを得ることが出来ました。
また、勉強しよう。