良くあるケースですが、一所懸命に練習してレッスンに持っていくと先生に怒られる場合。
自分の経験と、生徒たちの様子から想像するに、練習のし過ぎか、練習方法の間違いが原因だと思います。

練習のし過ぎとは、こうです・・・
一つの曲を、何度も繰り返して、ただひたすら歌ってしまうだけで終わるケース。
これは、暗譜をしようとしてなる場合も多いです。

発声練習でも、同じことが言えます。
何も考えないで、よく言えば無心で、何度も何度もくりかえして練習をする。

この「無心に練習をする」ということが、発声の基礎が確立していない人が行うと、悪い結果を出してしまうことが多いです。
無心ということば、言い換えれば何も考えていない、ということ。

何も考えないで、繰り返して何度もやれば、「やった」という経験の記憶だけは残りますから、ある意味先生には「やりました」と言えるわけです。
しかし、先生から見れば、いくら練習しても目的を達成していないものは「やってない」に等しいのです。

練習をする時、どういう意味と目的を以て練習をするか?最低限このことは押さえてください。
そして、上手く行かないと思ったらすぐやめたほうが良いです。

大事なことは、声をいかに音楽的に扱うか?という視点を常に持つこと。
歌声は自分の声ですから、ついつい音楽的に扱う、という意味を忘れ、ただ旋律とリズムに合わせてバーバーと出しているだけ、となります。
意外と気が付かないものです。

この考え方の必然性は、メロディとリズムの中に音楽が隠されているからです。
「メロディとリズム(ハーモニー)こそ音楽だろう?」と思われるでしょう。
それが間違いの基なのです。

そこにあるメロディはすでにあるのではなく、あなたの声が出ることでメロディが現実に作られる、という当たり前でとても重要なことを忘れないでください。
伴奏に乗っかったり、頭で覚えたメロディを単純に歌うだけというところから、一段、発想を変えてください。

自分の声の響きがメロディが生み出すことです。