今日の方は久しぶりでした。
彼女の声は、いよいよメゾソプラノが相応しいなと思うようになりました。
太く分厚い声を持っているわけではなく、ソプラノが出来る喉ですが、まずレパートリー嗜好がメゾ傾向の歌曲が多いこと。
以前は、低音がすぐに地声になっていたのが、このところ地声が混ざってきて、4点Dまでは、完全に地声にしないでも、太さのある良い声が聴こえてくるようになりました。

しかしながら、発声としては高音への換声が出来ておらず、しばしば喉の締まった細い声を出してしまいます。
この点を、今日は課題にしてレッスンをしました。

喉仏は、高い音になるほど上がって行き、喉が締まります。
そして低い音になるほど下がって行きます。
この習性を知れば、その逆になるように歌う、という発声になります。

すなわち、低音ほど高く鼻腔から頭部で歌うこと、喉が上がって来る声域になったら、喉の奥を拡げるようにすることで、喉の上りを防ぐわけです。
喉が上がらないで高音発声が出来るようになると、中音域の声との声質上のつながりが良く、安心して聴ける落ち着いた歌声に感じられるという、大きなメリットがあります。

この方法が一般に言われる、喉を開けるということです。
開け方は、いろいろありますが、口を開けて歌うときに、喉奥を深く感じるように発音するのが一般的ですが、口奥ではなく、首の方向を意識すると、口先を開けなくても喉を開けることと同じ効果が得られます。
これは、結局、喉を開ける=喉を上げない、ということに繋がるわけです。

喉そのものを下げよう下げようとすると、弊害が起こります。
喉周辺が硬直して、喉の機能を悪くしてしまいます。

喉の使い方、特に喉を拡げる程度、やり方などは、くれぐれも無理のない範囲で、行うように気を付けましょう。

曲は、ガブリエル・デュポンの「マンドリン」ヴェルレーヌの詩によりますから、フォーレ、ドビュッシー、アーンと並んで作っているわけです。

曲調はドビュッシーに似ていますね。リズム感が素早く、軽快さがドビュッシーに似ています。

これも、5点D以上は、喉を開けるように努力してもらいました。
修飾音符の扱いと2連符の扱いに注意してください。

そして、以前から続けて勉強している、三善晃の「抒情小曲集」から、1番2番3番4番を練習しました。
これも、高音域で喉を開けることと、低音域は、自分で思う以上に喉を浅くして、舌先を脱力して声を前に出すことに集中してもらいました。

低音発声も、この舌先の脱力と、喉を浅く意識する方法は、とても効果的で、声が前に聞こえてくるし、歌詞も明瞭に聞こえます。