山中信リサイタル2016年9月24日演奏写真5年ぶりで行ったリサイタルの録音を聴いた結果、自己採点の判断として、点数がかなり低かったことを認めざるを得ませんでした。
点数にすると、これまでの自分の独演会の中では、最低ランクになると思います。

このようなことをブログに記すことも残念ですが、原因と理由を自分なりに考えてまとめて今後の反省材料としたく、思い切って書きました。
プレイヤーの皆様の参考にもなれば、これも幸いなことです。

最大の理由は、本番で声の調子を最後まで上げられなかったことでしょう。
原因の一つとして、リハーサルで落ち着いて練習が出来なかったことがあげられます。

リハーサルの時間に、初めて聴くホール側の様々な制約や決まり事の確認に追われ、音楽的な集中力を持つことが出来なかったことです。
更に突っ込んで言えば、ホール側スタッフの対応に対し、何とは言えない不信感を持ったことも原因と思っています。

簡単にまとめると、様々な規則、たとえば楽屋で飲食をしてはいけない、とか、開演時間の判断を主催者ではなくホールが行うこと、ビデオカメラの設置場所の問題
等々、利用手引きに一切書いていないことが、当日になって多く出たことにこちらは混乱しました。

それでも、ホールのオーナーやスタッフの対応が良ければ救われたのですが、これが悪かった。
何が理由かわかりませんが、こちらがとても遠慮して使わせていただいているという気分になり、非常に気を遣わされました。
特に空調が寒かったので、温度を上げることをお願いしたところ、ピアノが狂うから、という理由で拒否されました。

リハーサル中も、何が気になるのか?ホールのスタッフがずっと居つきで監視されているかのようでした。
ホールを使ってこのような経験と印象を持ったのは初めてでした。

このような理由もあって、リハーサルで予定していた呼吸のための体操と発声を落ち着いてやる間もなく、機材設営の問題、楽屋の問題などに集中を削がれ、良い練習を持てませんでした。

それから、音楽的にはピアノとの音量バランスの確認でした。

リハーサルで、ピアノの音量が気にはなっていたのですが、その良し悪しの判断を他人に委ねてしまったことが失敗でした。
完全に信頼できる人間にその判断を委ねるべきでしたが、それが最初から叶わないのは判っていたことでしたが。

くれぐれも伝えておきたいことですが、大事な判断は本当に自分が音楽的に信頼している人間に頼むべきです。
そして、もしそれが叶わないのなら、客観的な判断を一切持たないで、自分たちだけで判断してやるべきです。
なぜなら、自分たちだけで判断しての失敗なら、後で諦めもつくからです。

発声的な分析をすれば、喉が温まらないうちに声量を出してしまい、喉がリラックスできない状態で歌い続けたため喉が上がり、微妙に締った状態で歌い続けてしまったことでしょう。
なぜ、声量を不要に上げてしまったか?というと、ピアノの音量が大きかったことが理由のひとつです。
また伴奏音楽のテンポ感が、練習時に比べ、先へ先へと進む傾向が強かったことでしょう。

ピアニストは、伴奏者としての経験不足だったことは否めません。
ただ、彼女はまだ若いですし今後の経験次第で、いくらでも向上できる余地はあると思います。

それでも、本番に至るまでの私個人の指導が甘かったことを今は認めるしかありません。これは、私の責任と痛感しています

さて、以上書いてみて、これらのことをクリアするために、理想は本番当日のホールとの対応一切を任せられるマネージャーが必要であることでしょうか。
それから、ホールとの打ち合わせを、あらかじめ入念に行っておくことです。
特に初めて使うホールは大事です。

今回、実は以前にゲスト出演したコンサートの時に歌いにくかった印象があったため、リハーサルのみの利用で2回使わせてもらっていました。
その際に、オーナーと話す機会がありましたが、上記の細則などの説明は一切ありませんでした。

声楽家が、クオリティの高い演奏をするためには、何よりも信頼できる良いホールを利用すること。
そして、もちろん本番までの長い練習も大事ですが、本番当日のリハーサルがいかに大事か?ということです。

自分のことを振り返ると、これまでリハーサルを軽く見ていたかな?という点も反省しています。

今回の失敗が悔しく、何とかリヴェンジをしたいのですが、同じホールではとてもやる気にならないので場所を変えてやりたいと考えています。