OM
コンサートのプログラムを伴奏合わせとなりました。
指導の中心は、発声のことでした。
ドビュッシーの「星の夜」は現実の星の夜の世界が見えるかどうか?
口先ではなくお腹から歌うことで、より本物の夜空が見えてくる、という違いを、指導していて明らかに感じました。
このために、伴奏のテンポを少しゆったりとすることと、音色なども考慮が必要なのでしょう。
なぜか?というと、夜空はキラキラしていますが、その輝きは、ネオンの輝きではなく、もっと深く神秘的な輝きだと思うからです。
フォーレの「シルヴィー」は、音楽は一見可愛いですが、本来はシックで地味な色合いだが、風合いの軽やかな衣装を身にまとった大人の女性の歌、と思ってください。
したがって歌声は落ち着いた声が必要です。
これも声の出し始めのポジションが浮つかないように、気を付けてください。
山田耕筰の「幽韻」の3曲も、やはり中音域の声の充実感でした。
ブレスと共に、下腹部に力を込め、そこから声が出だすようにすること、一本太い弦を使って弓で擦る感じをイメージしてください。
言葉の発音によって、喉が浅くならないように、喉のフォームを変えないで母音の違いに対応できるように。
そして、高音の換声点に当たっても、喉を変えないで対応してみてください。
あと、いずれの作品も、8分音符系の細かいリズムで、ゆったりした曲です。
音符を細かく書くことで、こぶし的な要素も含めた旋律の書き方なので、リズムを間違えないように細かくして読んだ後は、
逆に速いテンポ、あるいは4ビートに直して歌う練習もやってみること。
そうすことで、フレーズ感が身に付くでしょう。そのうえで、テンポをゆっくりに戻すと良いでしょう。
プーランクの「ティレジアスの乳房」のアリアは、これも、声の出し始めで、いわゆるお腹からの声になるよう、ブレスでの下腹部の使い方に留意してください。
喉については、オクターブ下の声を出して、その時の喉の状態を、オクターブ上でも変えないで出す意識を持ってみてください。
それが出来た上で、喉のフォームを変えないで強弱を良くつけた表現が出来れば完成です。
MM
発声練習は久しぶりに、換声点後の声区の発声を中心に行いました。
下降形で、半音ずつ上がって行くのが効果的です。
発声を不要に意識しなくても、高音発声への喉の適応が整えられる音型になるのだと思います。
この練習をある程度行ったから、低音に降りて行きますと、低音が頭声発声の強い状態になります。
この状態から、どれだけ胸声の要素を混ぜて行けるか?ということも必要です。
そうでない、薄い響きになってしまうからです。
ドナウディのSpirate pur spirate から練習を始めました。
基本的には良く歌えていますが、中低音域のピッチが少し低めで、暗い声になります。
Luoghi sereni e cari
spirate pur spirateは、やや古典的、バロック・ルネサンス調なので、軽くて良かったですが、こちらは近代ヴェリスモアリア的です。
しっかりお腹を使って重みのある声がほしくなります。
Vaghissima sembianza
これも同様に、ブレス時のお腹のいきみを意識して声を出し始めること。
ただし、喉に力を入れない事。
喉に力を入れると、声が暗くこもってしまいますし、野太くなってしまいます。
彼女の発声も、この違いが分かるようになってきたので、お腹に力を入れる効果が見込まれるのです。
O del mio amato ben
彼女の歌の原点なのだそうです。強い郷愁を誘う曲です。
ドナウディの作品には、郷愁を誘う音楽が多いです。