OM

モーツアルトのBatti batti o bel Masettoから練習しました。
声一つ一つ取れば、ほとんど良いと思えるのですが、流れ、フレーズで見ると、どうも表現が重い感じがしました。この曲の良さみたいなものが感じられなかった。

で、結果的に見ればテンポを速めるわけですが、テンポを速くするということ以上に、フレーズを歌う歌い方の問題であることがわかります。

つまり、言葉の流れです。
Batti batti o bel masetto、La tua povera Zerlina.この2つの小区分をAとBとします。
Aで語られている、Battiとは、日本語で「ぶって!」となります。
誰をがBに当たるフレーズになるわけです。

そして、これらの次にA2、Staro qui come agnellina,そしてB2がLe tue botte ad aspettarとなります。
これは、AとBで提示された、マゼットをぶってください!に対して、どのように?がA2で、子羊のようにで、B2で結論、あなたのお仕置きを待ってます。
という一区分の展開になるわけです。

こういう古典的な音楽形式と、言葉の関係を良く理解して、音楽的である形式と歌詞の内容を歌に載せてあげるわけです。

そういう行為が、結果的にこの曲全体の音楽的な表現につながってくるわけです。

楽譜どおりに歌う、と言うことの意味は、歌うことの意味、その表現の根本を楽譜から読み取ること、という理解をしてください。
これは、難しいことではなく、仮にイタリア語が出来なくても、今であれば歌詞の訳がネット上にもたくさんあると思います。

後は音楽の古典的な形式は、感じ取ることと楽典を読むことで充分理解できることだと思います。

バロックから古典主義時代までの音楽は、この点では、文字通り楽譜どおりにやるという言葉は通用する世界ですが、次に練習した、ドニゼッティの「連隊の娘」から「さようなら」になると、声のスタイルとテンポ感などは、なかなか難しいものがあります。

古典主義までの音楽以上に、情緒的な雰囲気、劇的な表現ではよりリアルな表現スタイルが求められてきます。

そのようなわけで、実際にYoutubeを見て参考にしました。

参考にしたのは若き頃のミレッラ・フレーニ女史。
とてもゆっくりのテンポ感と、メッツァヴォーチェを駆使して、悲劇的な感情を表現しています。
これだけのPPの声が使えれば、確かにちょっとしたMezzo forteでも、充分インパクトを感じるフレーズになります。

OMさんの高音は軽やかですが、このようなイタリアのアリアの場合、声のスタイルとしてもう少し深みと明るさがないまぜになったなった表現がほしいと感じました。
喉を浅くしないで声を前に良く吐き出してください。
そのためには、口を横開きにしないで縦に良く開いてください。
舌も奥に入り込まないように、前に出すようにするとよいでしょう。

ミレッラ・フレーニのこの曲の最高音の声を聞くと、声質が変わっていないことが判ると思います。
この点は、特に5点bAくらいまでは、頑張ってほしいところです。