2017年4月15日声楽レッスンノート

MR

オーディションの録音ということで、伴奏付での練習及び本番となりました。
曲はベッリーニのVaga luna che inargentiです。

発声練習は、入念にハミングから母音へという順番で行いました。
鼻腔発声という面を重点的に教えました。

大分コツが判って来たようで、響きの統一性が高音の換声点まできれいに続いてるのが好印象です。
敢えて高音の換声点以降はやりませんが、彼女の場合は声帯を使いすぎないで、切り変わったら切り変わった声を大事にするのが良いでしょう。
声の同質性を維持し過ぎると、声帯が太くびらびらと振動した雑音が出てしまうからです。

曲の演奏では、Rの発音を明瞭に意識すること、VagaのGが鼻濁音になりやすいことを修正。
歌いまわしとしては、5点C~4点A辺り、下降形で通過する際におんていが下がりやすいので、
上の声を極力変えないように注意してもらいました。

現状では良く歌えていますが、もっとも不足しているのが言葉を歌う意識です。
単語一つ一つを明快に意識して歌えているかどうか?
音符を歌うことに埋没しないように、という点です。

ちょっとした発声の微妙なニュアンスは、言葉を歌うことで生み出されるため、言葉を歌う意識が足りないために、棒歌いになってしまうのです。
この点を、今後良く考えて練習されると、上手な歌になると思います。

歌詞を歌う場合の鼻腔発声を利用する場合、下あごを極力参加させない方が上手く行きます。
このため、発音を明快にするために、唇を良く使うことが求められます。

特に開口母音のAやE、明るいOなどは、上唇や頬の筋肉を積極的に動かす必要があります。
なぜか?というと、日本人はこの鼻腔発声が元々足りないことと、表情筋もほとんど使われない傾向があるからです。

EK

発声練習はハミングで中音域、母音のIでト音記号内、そして母音のAで5点bくらいまでを練習しました。
母音のAは、曲を歌うと顕著ですが、声が奥にこもりやすいので母音のEを利用して響きを似たような感じで意識してもらいました。
単純に声を口から前に持っていく感じが良いでしょう。

曲はモーツアルトのハレルヤから。
母音のAを横開きに発音すると、響きが浅く子供っぽいため、縦に開ける方が良い響きになります。
声の響は前に出しますが、口の開け方は縦というか、丸い感じが良いでしょう。

これは、高音の換声点を過ぎて最高音域、特に彼女の場合は5点b~6点C以にかけては、縦に開ける方が喉の締りが軽減されて良い声になります。
ドニゼッティのドン・パスクワーレ「あの目に騎士は」でも、カデンツの最高音域は、極力縦に開けて、喉を締めない事と、上顎を良く使ってファルセットに近い響きを鼻腔方面で発声するようにしてください。
喉で締めて出せてしまいますが、悪い響きで汚くなりますので。

この曲は、冒頭の部分は中低音の良い響きも必要です。
こちらは声のポジションを意識して低く、しかし軟口蓋を上げてピッチを保つことは忘れないように。

全体に急がないで、ゆっくり練習してください。
ゆっくり確実に練習することで、発声フォームも良くなってきます。
良いフォームを体感出来たら、テンポを上げて行く、という順番で考えてください。