TSS

発表会の曲目から「ラクメ」の「鐘の歌」を外して、モーツアルトの「寂しい森の中で」とドニゼッティの「さようなら」、そしてトゥーランドットから「氷のような姫君の心も」
3曲です。
前者2曲は、彼女のキャラクターの範囲だと思いますが、そういう議論とか考え方よりも、単に音楽の表現としてふさわしい歌声かどうか?という点が大切だと思っています。
ヨーロッパの劇場のオーディションを受けるわけではないのです。

日本のふつうのコンサートで、ピアノ伴奏で歌ってお客様に楽しんでいただけること、を主眼にするべきと考えます。

その観点でレッスンしていますが、どの曲を歌っても音程感が良く、滑らかで音域の広い歌声は確立出来つつあると感じています。
ラクメが難しいのは、曲が長いことと、歌詞を暗譜できていない事の2点が要因です。

誰が歌っても、喉に辛いのは事実ですが、暗譜をして歌うことで、身体への集中は出来ますから、暗譜を目指してください。

後は、トゥーランドットのアリアですが、発声の重心を低く感じることで、自然に胸声要素が出て来ることと、共鳴も低く感じられるでしょう。
この方法で歌うことが、この曲の表現に適うということです。

TZM

毎回レッスンに来るたびに、こちらの提案を受け入れ工夫を見せてくれています。
特に難しかった「すずらん祭り」の歌の表現は、今回の練習で結論が出せたと思います。

つまり、歌詞を力強く表現することです。
歌い過ぎることで、歌詞発音があいまいになってメロディだけに意識が行くために、歌声としてもどこか気分的なあいまいさが目立つのでしょう。
この曲は下町の大道芸的な、はっきりした言葉の投げかけが、まずは大切だと思いました。

その点をはっきりさせたうえで、箇所によって良く歌いこむことは必要でしょう。

それからフランス語は語尾で伸びるEの発音が二重化する傾向はなくなりました。
その他、細かく気にする点はなくなってきましたが、やはり切れ目を明快に意識できると、よりフランス語が解る歌になるでしょう。
文節の切れ目とか、固有名詞の区別、などなどです。

「忘れられぬ香り」これも、歌詞発音が明快になったため、歌声も良い意味で力強さが良さにつながった歌になりました。
フランス語の部分は、急いで発音しようとすると不明瞭になるので、確実に発音して歌うようにしたほうが良いと思います。
具体的には、短い音符ほど確実に発音しよう、と意図した歌の方が良いのです。

TNA

発声で、身体の重心を下げることに留意しているのは良い傾向だと思います。
気を付けてほしいのは、重心を低くしているだけに偏ると、高音発声で悪い力みが出て、かえってファルセットになりやすいことです。
常に、上と下のバランスで成り立つこと、それは音域によっても変化すること、を覚えておいてください。
つまり歌いながら常に上下へのバランスを考えられるようになることです。

フォーレの「月の光」伴奏形に裏拍の強調のようなスタイルがありますので、気を付けてください。
伴奏に乗らないで、自分のしっかりしたテンポ感を意識することです。

ドビュッシーの「月の光」伴奏が正式に付けば、更に歌い易いでしょう。
高音がきれいに出ています。

ロッシーニのUna voceは、出だしの節のテンポを少し速めました。
その方が全体にすっきりするでしょう。
その代り、後半のテンポをどんどん速くして行くことで、ロッシーニのアジリタの妙味が良く出せると思います。
この曲も、声と表現が適切で、好感が持てる演奏レベルになっています。