あまり存じ上げないピアニストですが、録音が良いのと端正な音楽がフォーレのこの曲の理解には良い助けになると思いました。
私はフォーレのピアノ曲が大好きで、もしかするとドビュッシーやラヴェル以上かもしれないと思う面があります。
それは、ロマン派と近代のかけ橋的な要素があって、それが非常に高度な知性によって裏付けられていることにあります。
哲学用語で言えば、アポロ的なものとディオニュソス的な2つの相反する要素のバランスがよろしいということです。
人におもねる甘ったるさがないが、甘さの中のせつなさは充分持っている。
あるいは、とても現実的で夢はないかもしれないが、その現実的な中にとても大きな詩情を感じさせるというか。。。
恐らくこの時代の文学サロンの人々の思想や嗜好というものが、これらフォーレのピアノ作品には凝縮されているというか。
残念ながら、歌曲作品になると、人の声という生々しいものが介在するため、上述のアポロ的とディオニュソス的ということのバランスが悪くなると思います。
フォーレという人は、とても知性が高い人だが、決して冷たくないし悪知恵が発達していない感じとでもいいましょうか(笑)
正直という言葉がとても似あうフォーレの音楽だと思いました。