お腹を出すのか引っ込めるのか?どちらが正しいのか?に見る大きな誤解とその影響について

声楽の呼吸法を表す言葉として、良く見かけます。
ものごとを分かりやすく表現するのは良いですが、誤解を招くことも多いのです。

まず、この呼吸のときに動くお腹という言葉の定義。

お腹というのは、お腹全体を指しているのでしょうか?
それとも一部のことでしょうか?

お腹を引っ込めるというのは、お腹全体なのでしょうか?
それとも一部のことでしょうか?

私が言いたいのは、下腹部と上腹部の動きの相対する違いです。

下腹部を少し締めて息を入れると上腹部が出ます。
この状態で横隔膜を動かして声を出そうとすれば、結果的に上腹部は膨らみますが、
下腹部は更に引っ込んで行くでしょう。

そして当たり前のことですが、息がなくなり横隔膜が伸びきってしまえば、後は腹筋は役目を失って縮んでしまうだけでしょう。
従って、この段階まで行けば上腹部もしぼむ方向に行くはずです。
最後の一息を使うには、お腹はしぼむのみでしょう。
どうしてもお腹を出したい人は出せばよいのですが、原理は同じことなのです。

私はこの方法でやっていますが、もしその逆の方、息を入れると下腹部が出る方は、恐らく上腹部は引っ込むはずです。
ここまで書けば、目指す原理は同じことだというのが判るはずです。

要は2つの「お腹は出る」と「お腹は引っ込む」は、同じことを各人の感覚の違いで言っているのではないでしょうか?