ビブラートは、喉を動かすのではなく息の流れで自然に生じるものを意味します。
従って、歌うエネルギーに応じて自然に息が流れ出さないとビブラートはつきません。
初心者の方が最初に発声を覚えて、まず声が響くようになっても、ビブラートのない真っすぐな棒のような声になりがちです。
この理由は、息が歌声に応じて流れない発声になっていることと、喉頭の保持が何らかの理由で硬くなり揺れる柔軟さが持てないため、結果的にビブラートが生じない
という、2つの理由と思われます。
自然に息が流れる歌声とはどのようなものでしょうか?
それは腹筋を意識してへこまさなくても、歌うことで自然に息が吐かれていく状態になっていることです。
この意味がなかなか理解しづらいと思いますが、意識的にお腹をへこませて息を吐きながら歌うのではない、ということです。
これを自転車の手押しポンプで表現すると、普通は手押しポンプの取っ手をつかんで、一所懸命押し下げることで空気がタイヤに入って行きます。
これを手押しポンプを押さずに、自転車のタイヤの空気入れのところに弁がついていると仮定すると、その弁が自動的に開くことで、自然空気がタイヤに入ってくる、というイメージになります。
お判りいただけたでしょうか?
人間の場合、実際はブレスで膨らんだ状態を維持するように腹筋から背筋で息を支えるようにしておいて、歌うということです。
このことを、お腹を膨らますようにして歌う、という感覚で表現している人は多いです。
しかし、実際は、どこかがへこんでいるはずなのです。
腹部も腰もどこかしこもを膨らませて歌うということは出来ないはずです。
実際は、歌い進むにつ入れて前腹の再下端から徐々に前腹部がへこんでいくでしょう。
喉については、初心者の方の多くが舌を固く押し下げて発声するために、喉頭の発声諸器官が硬直し、結果的に声帯も硬直するためにビブラートがつかないと思われます。