夜の部は、長年通っている方たちの出演が多い会になりました。
それぞれ持ち味を発揮し、安定した演奏を披露してくれていたと思います。

一方、初めての方あるいは比較的新しい方たちも、レベルの高い演奏を披露しました。
本人たちはそれぞれ不満もあるでしょうが、不満に思うよりも良く出来ていたことを大事にしてください。

技術の壁は、一つだけではなく多方面にあります。
それが基礎的なことなのか?あるいはもう少しレベルの高いことなのか?で対処が違ってきます。
基礎的なことは早いうちに徹底して改善すべきですが、そうでなければ経験を通して気長に対処していきましょう。

ベテランの方々は、作品に対処するナイーブな感性が良く感じられ、私から見てもそのプレイヤー魂を羨ましく感じることがありました。
技術面では、逆に私が基礎的なことを教え切れていなかったなという反省も持ちました。

ところで、ピアノ伴奏で気づいた点があります。
それは、多くの方を伴奏するため仕方ない面もあるのですが、譜面に集中し過ぎて歌声とのアンサンブルが弱くなっている、と感じることがしばしばありました。
具体的には、ピアノ伴奏が歌を引っ張ってしまうことです。

伴奏のありかたは、歌手のリズム感にかなり影響があります。

初心者の場合、むしろそれが良い影響を与える場合も多いですが、ある程度力を持った歌手であれば、歌手が何をしようとしているのか?どう歌いたいのか?を常に感じて、
歌手が想定しているブレスとフレージングを引き出してあげるられるまでになってほしいです。
そのことで、歌手が持っている本番の力をより発揮出来るようになるからです。

難しいことですが、伴奏という仕事が持つ大きな意味を改めて覚えて、今後に臨んでいただきたいと思いました。

ともあれ、皆さん素晴らしい演奏をありがとうございました。
また、伴奏ピアニストの皆さんにも、心からの感謝をいたします。

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KN TM SNT MR TH HA SM MT EK AC  OM

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

KN

ムジカCの発表会はお初です。
かなり緊張しているように見受けられましたが、実際の演奏は思ったより落ち着いて歌えていました。
ほぼレッスンで聞いている通りに歌えていましたのでお見事!です。
レッジェロなソプラノの才能が良く出せていて、好感が持てるステージでした。
今後は、更にブレスの身体使いとと発声との関係を良く覚えていきましょう。
ブレスが伸びると、表現力に余裕が出来るからです。
今後に期待大!です。

スカルラッティ「菫」ヘンデル「私を泣かせてください」

 

 

 

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TM

こちらに通いだした頃に比べると、声に落ち着きと深みが出た印象がまず第一。
また、当初根強い癖があったA母音も、かなり改善されてきた印象を持ちました。
欲を言えば、低音発声でもう少し鼻腔共鳴的な響きが加味されると、より密で滑らかで明るい声質の低音になりより魅力的になるでしょう。
音楽的には良いセンスを持っているので、発声そのものにさらに磨きをかけてください。
フランス語の発音と発声の関係は、未熟な点が散見されるので、これからの精進に更に期待したいです。
特にWaのAの扱いとか、語尾のEmuetの扱いに象徴されます。

フォーレ「祈りを込めて」「5つのヴェニスの歌曲」より「ひそやかに」

 

 

 

 

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SNT

この1年ほどの間で急速に進歩出来たな、と思ったステージでした。
意外と本番に強いのか?あるいは今回の会場が彼女に味方したか?
声の部分で懸案に感じていた点は、ほとんどクリアできていたと思います。
声楽家として恵まれた身体を持っている方だと思いますので、ブレスと発声方法に留意すればまだまだ声量は伸びるでしょう。
ブレスの力と喉の重心の関係が解ると、声量とフレーズの流れを生み出す、真のリズム感が自ずと判ると思います。
また、高音発声もより鋭く集まった響きが可能になるでしょう。

ヘンデル メサイヤ「かの者たちの足の何と美しきかな」
フォーレ「リディア」
プッチーニ ジャンニ・スキッキ「いとしのお父様」

 

 

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MR

前回の発表会のリヴェンジプログラムとなりました。
前回、悔しかった発声の不具合が上手に抑制出来た点は評価出来ます。
ただ、それは抑制であり、根本的な解決は未だという印象です。
今回がその第一歩と思って、さらに発声に磨きをかけて下さい。
具体的には、ブレスと声の出し始めへの集中と、歌っているフレーズ中の呼気の管理です。
姿勢と歌詞発音での口の開け方の抑制が重要になりますので、根気よく何度も同じことを確認して身につけてください。

ベッリーニ 夢遊病の女より「ああ、信じられない」

 

 

 

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TH

リリックなオペラアリア2曲の挑戦ですが、2曲ともアクートの効いた高音発声が、これまでの進歩を証明しているでしょう。
ただ中低音が不安定なのは、発展途上のためでしょう。直前のレッスンで指摘したことが逆効果だったかもしれません。

こちらに来た頃は、良い意味で安定した歌声でしたが、暗めの低音と力んだ高音という点で声のキャラクターを模索してきました。
レッジェロか?リリコか?その中間か?
今回はリリコのキャラクターに挑戦しましたが、まだ私の力及ばず。
もう少しこの方向で中低音の発声を調整しましょう。

プッチーニ トスカより「歌に生き、愛に生き」
ヴェルディ 運命の力より「神よ、平和を与えたまえ」

 

 

 

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HA

華やかなオペラアリアが似合う方ですが、実は宗教的な曲と日本のしみじみとした歌が好き方なのです。
その点で、非常に成功したステージでした。
アヴェ・マリアは、高音のメッツァ・ヴォーチェの声が大変上手にきれいに出ました。
日本の歌も、歌詞が明快であったため、聞いているものが歌に集中できました。
何より、歌う姿勢の中に作品への敬意が感じられる点が良かった。
いつもレッスンで言う通り、声を高く響かせる発声を常に大事にしてください。

フィリップ・ロンビ「アヴェ・マリア」
菅野祥子「春なのに」

 

 

 

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SM

全体的に落ち着きのある品の良い演奏ぶりが強く印象に残りました。
発声に無理をせず、確実に丁寧に歌おうとしたことが成功につながったのではないでしょうか。
今までの彼女のステージではベストになる良い出来でした。
ショーソンの3つの歌曲のそれぞれの良さを、じっくりと味わうことが出来ました。
自分に合う曲を探すのは難しいことですが、それを探すことはとても大事なことです。
発声としては、今後も引き続き、中低音の声を高く引き上げることを研究されてください。

ショーソン「蜂雀」「リラの花咲くころ」「蝶々」

 

 

 

 

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MT

私も大好きなこの作品。
三善晃という人の偉大な才能が遺憾なく発揮された傑作です。
その才能あふれる作品の魅力を、余すところなく歌い切れた集中力は素晴らしかったです。
欲を言えば、演劇的に各々の表現の変化が出せると、より良いステージになると思われます。
発声面は、レッスンでも指摘しましたが、音程跳躍で上の声との整合性に段差がついて声のアタックが遅れる点が惜しいと思いました。
高音発声は良いアクートが実現できているし低音も良く響く喉なので、今後この低音~高音という声の整合性に留意してより器楽的でクラシカルな声楽の良さを追求してください。

三善晃「抒情小曲集」全5曲

 

 

 

 

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EK

彼女の歌声を聴くたびに、声という楽器としての存在に思いが至ります。
器楽的な歌声というのは、選曲のせいもあるかもしれません。
その意味で、ヘンデルのアリアは良い響きだったのですが、ピアノとのアンサンブルがもう一歩で、
ブレスが思ったように伸びないきらいがありました。
それは、ホールでの声の響き方にナイーブになってしまったせいもあるでしょう。
声の響きそのものは良かっただけに惜しかったです。
このようなテンポの速いバロックアリアの難しさは、テンポにおけるアンサンブルにある、と言えましょう。
メンデルスゾーンは、落ち着いて歌えて、この曲の宗教的な温かみが感じられる好演になりました。

メンデルスゾーン「サルヴェ・レジーナ」
ヘンデル エジプトのジュリオ・チェザーレより「嵐の海で難破した小舟は」

 

 

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AC

今回のフォーレの歌曲。レッスンを続ける中で、最後の最後になって発声の進展がありました。
喉を高くしないで、声の響きを高く引き上げて発声することです。
まだ完全ではありませんが、本番でも良い方向に出せたことは大きな収穫でした。
低音発声と中高音の声区のつながりも良かったです。
惜しいと思ったのはピアノとのアンサンブルが、これもレッスン室と違う会場での響きの影響で力みが出た点です。
ピアノ伴奏はもっと滑らかにリズムをアタックし、歌がその伴奏の上をフレーズ出来るようになることが理想だなと思いました。
ピアノとのアンサンブルは、これは歌手ピアニスト共に常に大事にしてください。

フォーレ「あけぼの」「イスパーンの薔薇」「祈りながら」

 

 

 

 

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OM

長年にわたってレッスンをして、オペラ養成所に通った経験が結実してきたと感じる好演奏でした。
声楽家らしい美声で2つのアリアを見事に披露してくれました。
イタリア語によるオペラアリアも歌詞の内容と演技を感じさせる表現力がありましたし、
フランス語によるアリアは、その曲が持つ美点を余すところなく発揮できていたと思います。
指導してきた者として、彼女の意志の強さと忍耐力を感じさせるステージだったと思います。
今後の活躍が十分に期待出来る結果になりました。
また近い将来に、更に成長した歌を聞かせてください。

ベッリーニ カプレーティ家とモンテッキ家より「ああ、幾たびか!」
グノー ロミオとジュリエットより「私は夢に生きたいの」

 

 

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