演奏上の表現力は、奏者の音楽理解度に依存するということを最近は良く思う。
当たり前と思われるだろうが、実は思ったほど演奏者は理解しないで演奏していることが多いものだ。
なぜか?
それは譜面を見てその通りに演奏すれば、形になると思っているからだろう。
あるいは、技術的な課題をクリアしてそこで終わりだと思い込んでいるから。
音源を聴いて判ったつもりになって、そこで終わっているからだろう。
技術的な面では、譜面通りに演奏したと思っていても、その通りになっていない場合が多い。
音源を聴いて、きれいな曲だな、かっこいいなと思ってもその理解は上っ面だけであり、その曲の本当の真意まで考えたわけではないのだ。
音楽美を味わうのは直観だとしても、演奏するものはそこで終わってはいけないと思う。
なぜ美しいと思うのか?そのなぜ?を分析する必要がある。
演奏行為を通して、その美を聴衆に届ける演奏家は直観だけではとても務まらないものである。