SNT

発声練習は、音程と声質が比較的に安定して2オクターブを行き来出来た歌声であった。

パノフカ17番、2度の細かい音符、すなわちトリルの練習曲。
何度か通すと喉が慣れるのか?対処が上手くなるようであった。
トリルそのものよりも、同じトリルをそのまま音程を上げてフレーズを続けるのが難しい。
曲の難易度にも関わらず良く練習していると思ったが、もう一歩確実にするとテクニックが育つ思うので、復習を勧めた。

フォーレのPie Jesu
テンポを速めて楽に歌えるようになった。
後は表現を歌声のニュアンスとして伝えられるように、楽譜に指示のある強弱をテンポの変化と共に考えてもらった。
つまりPPやPを歌うときの語り口とMfやF、そしてクレッシェンドする時の語り口の微妙なテンポの変化は積極的に行うということ。

同じくフォーレのLe papillon et la fleur
発音がようやく明快になってきた。そのためスタッカートに歌う必要はないと判断。
普通に戻してもらった。
後は語り口の問題。つまりどう語るか?どういう気分で歌うか?によって語り口は自然に決まるだろう。

ベッリーニ「夢遊病の女」「あぁ信じられない!」
レチタティーヴォは基本的な部分は合格だった。
後は、歌詞内容の感情の変化に応じた語り口の緩急と強弱を意識できると良い。
それは音楽に表現されているので。
アリアも声に力が入って良い声になっている。

MMH

発声練習は、口を開けたハミングで中低音域を中心に練習した。
中低域の声として重くならずに高く明るくすることによって、換声点を過ぎた高音への連続性をスムーズにできるように。
ハミング時も母音時も、5点Dでファルセット性が出やすいので、ここをファルセットにならないように意識すること。
喉に詰まらせないで、ということは不要に喉を下げないで、むしろ鼻腔に入れて行く感覚であろうか。
喉は下げるのではなく、上げないための姿勢であり腹部のサポート力である。

コンコーネ43番は良く歌えていた。特にフレーズを声のふくらみを利用して綺麗に歌えていた点が評価できる。

ヴェルディのオテロからデズデモーナのアリア、Ave Maria
感心したのは冒頭のレチタティーヴォの低音の声。
良い声が決まっていた。
最後に出てくる最高音も弱声が必要なのだが音程では合格。
声質にもう少し共鳴感が欲しかった。つまり響きの空間が感じられること。

ドビュッシーNuit d’etoile
全体に良く歌えるようになったが、更にレガートでフランス語が美しく感じる歌い方としてあごの使い方を指導。
特に下あごの使いかたを徹底指導した。
下あごの動きを抑制する代わりに、上唇を上手く使うこと。下唇は音程が高くなっていくときに喉を上げないために有効であること。

En sourdine
低音が暗くならないように、あごの使い方に注意をしつつ、あごを完全に止める必要もないこと。
つまり顎を下げないで歌う練習が、何をするためか?を理解できていれば、その成果を守りつつ自由に歌って良い。
最期のフレーズか?音程感の納得がもう少し必要か?

Roamnce
ほぼイメージ通りの歌声で歌えていた。この曲のオリジナルの曲想に沿った良い歌声である。
伴奏が強くないフレーズの特に中低音のピッチが目立つので注意すると良い。
特に最後のフレーズは要注意。