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発声練習は声に元気がなく、こもり傾向だった。
どうも前回まで口を開けない発声をしていた影響で、声が前に吐き出せない発声になっていたようだった。
口を開けない発声になった理由は、恐らくヘンデルのUn cenno leggiadrettoを練習中、換声点直前で声を出しすぎて胸声傾向になるために、ピッチが低くなったことを修正するためだったと思う。
彼方立てれば此方が立たぬ、ということわざ通りで、発声を教えるのは難しいとつくづく感じた。
今回話したことは、発声のもっとも根本的なこととしてだが、元々が彼女の場合は声が前に出ないタイプなので、口を開けて良く声を吐き出すことを先ず徹底して覚えることであった。
そのことだけに照準を合わせた発声に撤することを、まず照準にしてやって行かなければ、と改めて感じたレッスンだった。
この指摘によって声のこもり引っ込みはほぼ解決し、伴奏と合わせで歌う3曲とも明るく前に出る声が発揮できるようになった。
やはり彼女の場合は、声を出すことという根本を忘れて発声の枝葉に行かない方が良いと感じた。
これは、指導側にとっても重要なことで、ややもすれば細かいことに拘泥して教えてしまうことが、大きな反省点であった。
今後は、声を出すことが無意識で息を前に吐き出すように出来ることを優先して行きたい。