一般には歌で譜読みといえば、譜面を見て音符を読みこむことでメロディを歌えるようにします。
人によってそのやり方に多少の違いはあるでしょう。
いずれにしても、音楽ですから音の並びを声にすることが基本と考えるはずです。
この譜読みにおいて、これまで多くの方々にレッスンしてきた経験からある方法を考え実行しています。
それは音を取ることとは別に、歌詞を歌詞として朗読をすることにあります。
大事なことは、無感情で小さな声で適当に読むのでは意味がないということです。
朗読の練習をする意味は、歌詞を滑らずに読めるかどうか?よりも、歌声と歌詞の関係を強く結びつける感覚を会得することに意味があるのです。
その効果は2つあります。
一つは歌唱時の発音が明瞭になること。
そして、音楽表現が深まることです。
なぜ音楽表現の意味が深まるのでしょうか?
往々にして声楽家は歌詞を歌うことよりもメロディそのものを歌うことに、無意識に重点を置いてしまいがちなのです。
メロディのエモーションを素直に歌声に反映させてしまう傾向が強いために、歌詞発音や歌詞の意味することが出せないで終わってしまうのです。
このことを修正してくれる効果がある訳です。
その他にも副産物的に効果があります。
これは母音発声の状態そのものに影響を与える点にあります。
この詳細については、別の機会に書きます。
最後ですが、本当は譜読みや朗読をする前にやっておくべきことがあります。
それは歌詞の訳詞を作ることです。
歌詞の内容が解らない状態で、音楽を理解した気になってしまうことは危険なことなのです。
日本語なら良いだろう、と思ってませんか?
しかし日本語の歌詞ですら、実は内容をよく理解しないで上っ面だけ撫でた状態で歌い込んでいないでしょうか?
音を取る前に、歌詞を良く理解して音読すること。
これに勝る譜読み方法はないでしょう。