NY
久しぶりであったが、オンラインレッスンとなった。
ショーソンの「蜂雀」と「蝶たち」
どちらも、ひとまず朗読を行った。
フランス語の発音では、単語の語尾のEがエとなりやすい点を注意。
後は、根本的な面だが、このEあいまい母音を含めて、狭母音と開母音の違いを覚えて歌声に反映させられるのが理想的ということ。
蜂雀を歌ってもらって感じたのは、全体に声を良く出して当たった声で、なおかつ高音の換声点が以前聴いていた彼女の歌声と変わっていたこと。
以前は、5点Cくらいからすでに声に変化が生じていたと思う。
以前はその点で、早すぎる換声の使いかたという課題で練習をしていた。
これは良い意味、と解釈した。
オンラインで聴くために正確さに慎重を期すので、とりあえず指摘せずに任せて歌ってもらった。
一点気になったのは、声の揺れである。大きいビブラートとでも言おうか。
ただ、Il meurentで始まるフレーズの声は、もっと柔らかいメッザヴォーチェが活かせると良いと思った。
このことについては、結局、最後の彼女の質問から、解ることがあり、発声方法について細かく指摘をした。
Les papillonsも、朗読をしてから歌ってもらった。
こちらは、テンポが速いこともあるが、速さを意識し過ぎて流れてしまわないように。
2拍をきっちりした打点を感じて歌う方が、この曲のチャームポイントは出るはずである。
指摘した点は同じである。
また彼女自身が指摘したように、レガートを意識しないで、シラブルを出す方がしっくりくると思った。
この曲では、特に開母音と狭母音の違いについて話すことが多かった。
フランス語の歌唱では、開母音と狭母音の違いを明快にすることで、らしさが出るし音楽的にも美しいものになること。
そして開母音については、基本をAにとってその発声から舌だけを動かしてEに移行する練習を試した。
この場合口の形で母音を作らないで、舌の動きだけで母音の変化を作るということが基本であること。
狭いeについては、U母音の唇を突き出す形でeを発音するように。
yについては、Iの発音から唇を突き出すと、オートマティックにyに変化する。
概ね、以上のような点がポイントであろうか。
最後に声が疲れやすいとのことで、発声のことについて指摘をした。
今回のオンラインで感じた、声の揺れは、やはり声帯を厚く使った胸声傾向が強い発声のせいであったことが良く判った。
そこで、ハミングによる練習を推奨した。
口をA母音状に開けたハミングで、ピッチを正確に取って練習すること。
それと、特に中音域は、母音発声の場合5度上を出してからその喉の状態のまま基音に戻る方法でピッチと母音発声の声質を決めることは、声を重くしない頭声傾向の声作りにとても有用であることを話して終わりにした。