MMT
フォーレの「よき歌」1,2,3,5をレッスン。
全体にとても良いソプラノの共鳴を伴った歌声で、この曲の音楽性が良く発揮されるものであった。
強いて課題を挙げれば、声のために母音、特に狭母音の特徴が消えるため、フランス語らしさが薄れる面もある。
1、「後光を背負った聖女」
声は文句なく綺麗である。この曲集はやはり女性の方が良いと思ったくらいである。
独りでぽつぽつピアノを叩きながらの練習だと、どうしてもテンポ感が身につかない。
その意味で、このテンポは楽譜通りを正確に感じて練習してほしい。
それほど遅いテンポの表現ではないことを、詩の意味とそれを汲み取ったフォーレの音楽性を良く理解すること。
2、「暁の光は広がり」
転調の微妙な音程感に注意を。
後半の伴奏形のアルペジオが変わってDolce指示からの声色は工夫がほしい。
詩の内容との関係である。
最後のD’autre paradisの長いフレーズは、延ばす音で息の配分を意識しないとブレスが持たない。
3、「白い月影は森に照り」
中高音に跳躍する際に、非常に良い声だが微妙に♭に感じるピッチは、喉を力ませないためと思われる。
4、「私は本当に恐ろしいほど」
これもテンポは想像以上に速い。
それは歌詞の内容に即したフォーレの表現なので、テンポ感を大切に歌ってほしい。
つまり歌い過ぎない、という考え方をしても間違いないだろう。
ST
発声練習
練習をしてきたか?と思うくらいに発声の声は調子よく良く出せていた。
また苦手な換声点もストレスなく通過出来ていた。
しかしまだ喉を余計に下げる癖があるためか?換声点を過ぎると急速にくぐもった声になる。
この5点F♯~5点Gは、喉を意識的に上げるくらいにしたほうが、彼女には良いと思った。
ドン・ジョヴァンニよりエルヴィーラのアリア3番
声量は充分で、積極的で力強い歌声が評価できる。
跳躍幅の大きいレガートの高音側の対処に注意を。
同じく8番
こちらは少し工夫と練習が必要だった。
要はテンポ。
つまり最後の連続するメリスマのフレーズがきついため、ブレスのタイミングが難しくなることを避けるため。
同じく11番
今回の本番は最低限必要なブレスのタイミング、という観点からテンポを少し遅くしてもらった。
とはいえ四分音符=108なので、楽譜指示通りAllegrettoである。
早く歌いたくなる曲だが、ムキになって歌わないものだし、後半の高音がきつい長いフレーズを考えると
ブレスタイミング的にも、このテンポは守るべきだろう。