THさんの歌う姿

TH

発声練習

口を縦に良く開ける練習。
恐らく彼女としては、やりにくい発声と感じただろう。
だが上手く行ったと思う。
低音~中音域の声の響きが倍加した。
高音への換声自体は、自然に行われるように考えれば良い。

ヘンデル Se pieta di me no sentiとTu del ciel ministro eletto

これらの2曲を練習する上で留意した点は、高音への換声点付近のフレーズの歌い方であった。
彼女の声が一番乗りやすい音域になる。
彼女の場合、このフレーズをどう歌うか?歌詞をどう歌うか?という視点が弱い。
つまり声の調子次第で歌いたいように歌う、という具合。

メロディに素直に歌声を発揮するのは間違いではない。
ただ外国語を歌う場合、歌詞を発音して歌う語り口が阻害されかねない。
だが外国語を理解した上で、あえて歌に重点を置くのは良いと思う。
そうではなく、歌声が気持ちよいから気持ちよく歌うのは表現としては稚拙であろう。

具体的には、レガートに歌おうとしないでスタッカートで歌うくらいがちょうど良い。
スタッカートにする方が声量もコントロールしやすいこともある。

イタリア古典歌曲集 Il mio ben.Quando verra

ヘンデルの練習を徹底したおかげか、均整の取れた美しさを表現出来ていた。
近代のイタリアオペラのアリアではないので、歌声に任せてドラマティックに歌う曲ではない。
細かい音符をていねいにきれいに処理して修飾を良く聞かせるべき曲である。
ヘンデルも同じだが、高音に跳躍するフレーズの滑らかさには殊の外、留意してほしい。