AC

発声練習

下降形5度で始め、上行形5度アルペジオ、そして上行形5度スケールを練習し、最後に10度のアルペジオで終えた。
全体に換声点の通過が自然に出来ていたし、低音の換声も上手である。
安定した母音発声による発声練習の声であった。

フォーレの歌曲から

「修道院の廃墟にて」

まずフランス語歌詞でざっと通して歌ってもらった。
感じたことは、メロディのリズム感を出す歌い方と、それに由来するアーティキュレーションを練習した。
6/8拍子で長短が交互に並ぶ、判りやすいリズム感だが、そのことで長い音符つまり強拍が強調されてしまうこと。
短い音符、ここでは8分音符をていねいに扱う意識だけでかなり良くなる。

A母音で歌ってから、歌詞をつけるが、その前に歌詞をリズムで読む練習をした。
oeの発音記号は、どちらかといえばEに近い感じであり、Oではないことは大事だ。
Seul、oeur、Cueille等々。。
これらの練習を経て、大分すっきりと音楽的な歌になったと思う。

後の課題は、ピッチの収まり所を見つけること。
つまり、発声の問題。
彼女の場合、チェンジした声は概ねピッチが高くなる。
ピアノの和音の良さと声の関係がもう少し近づくと良いのだが。
次回の課題としたい。

「ネル」

調性をオリジナルに選んだため、彼女の声の技巧からすると高いと感じられる歌声であった。
これは、ふつう中声用を選ぶのが無難だが、彼女も経験は豊富なので、あえてこのオリジナルキーを歌うことで、
高い喉の歌い方をどう克服するか?を練習する良い課題だと思えた。
一言で表せば、声の換声点のポイントを明快に把握して、素早くその処理を行うこと。
歌いながら処理するのだが、口の開け方を素早く換声点に適応する方法である。

他には、この曲も、前曲とまったく同じ方法で細かく練習をした。
良い収まりのピッチを探すことは、後々の課題としたい。
このピッチの問題は、声が表現する和音感のことである。
伴奏の和音と声の関係がぴったりはまっていることである。