歌い出しの発声における子音の重要性

本来、声楽は日本ではなく欧米で生まれた歌唱技術によって発展してきました。
当然、歌詞は欧米の言葉になりますので、発声技術には欧米語の発音の影響が強くあります。
その中でも子音の扱いは、日本語との大きな違いがあります。
日本語にも音声学上は子音が存在しますが、ほとんどの場合子音を意識されることはありません。
むしろ子音と母音が同時に存在しているように思えるくらいです。

子音の話の前に母音発声について

子音発声を知る前に、あらためて母音発声の基本を知ってください。
声楽で必要なことは、発声の瞬間に声帯が閉じることです。
声帯を閉じるためには、瞬間的に呼気が止まることです。
この呼気のコントロールに大きな影響を与えるのが、子音の発音ということなのです。

子音をどう発音するのか?

恐らく外国語を発音からしっかり学んだことがないと、子音の発音を意識できる人は少ないでしょう。
日本人にとっては最も覚えるべき代表的な子音の発声方法を書きます。

B 上下の唇を合わせて息を吐いて唇を開くように発音
D 舌先を下歯につけておいて息を吐くように発音
F 上歯を下唇に合わせてから息を吐くように発音
K 軟口蓋に舌奥を付けてから離す
L 舌先を硬口蓋につけてから離して発音
M 上下の唇を合わせて響きを鼻を通すようにして唇を開く
N 舌先を上歯に当てて鼻音を通してから舌を歯から離す。

これらを練習すると、子音発音の瞬間に声帯が一瞬閉じる感覚が生まれるはずです。
そのことが母音発声につながるのです。

子音の発語と発声の関係

基本的に発声の際には子音→母音という順番をしっかり意識することです。

*そして子音の発語の際に母音の音程を意識していることも重要です。

大事なのは子音発音時点で母音の要求する音程を意識することです。
つまり子音発音=音程ということになります。

*勘違いしやすいのは、子音に母音を付けてそこで音程を出すことです。

ちょっと難しいですが、子音発音の際に声帯が閉じる感覚と同時に音程を意識することです。

日本人が陥りがちな間違った子音発声

もっとも多いのが下あごを余計に動かすことです。

*下あごではなく、舌そのものを良く動かしてください。

あるいは唇もそうです。
例えば、Kaをある音程で出してみてください。
子音Kを発音するために下あごを動かしていませんか?
Kは、軟口蓋と舌で出来ますので、基本的には下あごは関与しなくても発音出来るはずです。

*つまり口を開けた状態で下あごを動かさずに、Kaが発音・発声出来なければ正しくありません。