ドビュッシー 「管弦楽のための映像」より「春のロンド」

昨年夏~秋にかけて病気で何度か入院することになり、iphoneにこの曲を入れてイヤホンで何度も何度も聴いたものでした。
大分以前にもちらっと聞いた記憶があるのですが、どうも印象が薄く心に残りませんでした。

しかしこれではいかん!と思い入院中のひまに飽かせて何度も何度も聞きました。
そうすると音楽が解って来るのです。

そこでは様々な鳥の鳴き声があちこちから聞こえてくる。その声色は大小さまざま。
近くから遠くから聞こえてきます。
すると風が一気に吹き上げると梢の葉のざわめきがざわざわとなります。
そのような自然の物音が、ドビュッシーという人の春の訪れへの感動を通して表現されています。
素晴らしいではありませんか!

具体的には、音の美しさを際立たせるための和音構造や器楽編成やリズム感という部分に秘密があると思います。
断片的なメロディはありますが、それらはいつも風のようにやって来てはいつの間にか消えている、という具合。
そしてそれらの断片はとても耳馴染みが良いが不確かなメロディの断片なのです。

全体には論理的な構成と感じられるものはないですが、気が付くとフィナーレになっています。
ドビュッシー独自の成熟した音楽形式が心地よさを与えてくれる音楽ではないでしょうか?