TNK

発声練習

彼の声は中音域で声が高く入りやすい点は、ピッチの良さという面でメリットである。
ただ、声質特にバリトンの声質としては軽くなり過ぎて、テノールかバリトンか?という判別が難しい声になる。
別に声域云々以前に、持ち声からしてももっと低い共鳴がある方が、単純に良い声という評価を得やすいと思った。
もちろんそれは合唱ではなく、ソロ歌唱としてであるが。
胸に楽に響かせること、声を低く構えることを重視することを指導した。

コンコーネOP9より

発声練習で指導した声が良く反映された結果になった。
中低音もバリトンらしくなり、何より高音域の声のしっかり感が良かった。
リズム、特にシンコペーションが苦手なようなので、拍節を充分意識して練習出来るように。

シューベルト「野ばら」

声は発声練習で理解した歌声をよく発揮できていた。
今まで練習を重ねたフレーズ終わりの高音の処理が上手く出来るようになった。
今回指摘したことは、母音を良く意識して響かせること。
単純に音符を歌う意識だけだと、母音の響きが時として隠れてしまう。
結果、メロディラインが良く分からない歌になるからである。
1~3番までの歌詞内容をよく理解してニュアンスの違いを考えられると完璧である。

シューベルト「菩提樹」

これも今日の発声練習の声が上手く反映されておりバリトンらしい声になった。
こちらも細かい音符、特に低域の細かい音符の響きと音程感を大切にすること。
そのためには下あごでの発音を抑制すること。
歌詞の意味を良く理解して、今日の良い歌声を定着させてほしい。

武満徹「歌うだけ」

これも今日の発声の変化で俄然良い歌声の表現になった。
歌声そのものが表現に大きくかかわる良い一例である。
あとはピアノ伴奏付きでどのようなニュアンスを付けて歌えるか?