AS

今回も発声と格闘しましたが、徐々に声のポジションが定まりつつあります。
ブレスと共に喉の準備、あくびの状態から声を出し始める所に至る部分で、丁寧にかつ
思い切り良くやる、ということが、非常に微妙なことに気づいていると思います。
面倒くさいので、えいや!とやりたくなりますが、そういう時は大体息の力でぼ~んと押している声です。

声のアタックは息で押す必要はないのであって、声門閉鎖をきちっと出来るブレスと喉の準備があれば、
声の出始めは自然に決まる、ということ、少しずつ気づいているのではないでしょうか?

低音は、今まで簡単に地声を出していましたが、地声を出すと言うこと自体が、雑な出し方の一つの結果と思って下さい。
地声自体が悪いのではなく、です。
地声も必要なことがありますので、それはそれとして、なるべく低音まで声を変えないで、響かせることを
身に付けて下さい。

モーツアルトの「すみれ」は、音域が高めで難しいですが、じっくりと丁寧に対処することを怠らなければ、
かなり良い方向に行けると思います。
高音の2点F以上の音域の歌詞発音と発声との関係を判って、工夫をして下さい。
要するに喉が上がらないような発音の仕方に、歌詞の母音発音をモディファイするのです。
概ね高音の狭母音は、口を丸く使うこと、唇を突き出すと、喉が下がるのです。
それから高音に限らず、口を縦に開ける意味を判って下さい。

「夕べの想い」は、音域のせいもあり、問題はあまり感じません。ひたすら今日の発声で得た感触を試してください。
Dans un bois solitaire et sombre、発音の訂正と同時に、声のことも少しずつ修正をしました。
全体に、今日の発声で得られた成果が実を結びつつあります。くれぐれも大事に声を扱って行くことを忘れないように。

MN

久しぶりで8年ぶりくらいでしたか・・・。

当時から中低音が苦手で、高音になると活き活きしていましたが、今もそれは同じようです。
ただ、微妙ですが以前よりは声量が出ているよう、と感じました。

実際に聴いてみると、頑張って出していますが、上半身がこちこちで、ブレスも高いため
喉や周辺が緊張しているようでした。
これでは、少なくとも中低音の響き自体が出しにくい、と思いました。

最近皆さんにやっている、上半身を揺すって楽にして、お腹のみぞおち辺りから声を出し始めることを
試してみました。
それと、下顎を楽に降ろした口の開け方と、響きを頭部に持って行かないことです。

これらの条件で練習しますと、声の線が少し太くなって、声が確実に鳴るのが判ります。

これが、声の原型になります。
この声の原型の出し方を覚えてから、もう一度頭声とは何か?声を前に当てるとは何か?という
ことを復習すれば良いのです。

逆に言えば、根源を忘れて、ディテールに拘るために、声の基礎の音域がなおざりになってしまったと言えるでしょう。

曲はトスティのPreghieraを良く練習しました。
中低音が発声練習の方法で、響く声になりました。
やはり喉や横隔膜が緊張していたのだと思います。

現状では、脱力するあまり、発音が少しゆるんだ感じになりますが、慣れるまではむしろその方向で
積極的に脱力式を覚えて下さい。
そして慣れたら、またはっきり発音する方向にすれば良いでしょう。
連隊の娘のアリア、冒頭の中音域の声も、ちょっとしたことで、俄然響きが出ていました。
声を大事にして下さい。

SM

今日のレッスンでの収穫、キーポイントが一つあります。
中音域の声ですが、喉と軟口蓋のバランスが取れて、良く開いた喉であり、声門閉鎖が上手く行われている当った声です。

彼女の場合、彼女固有の癖として喉側に深くする癖があるのです。
そのために、声帯が少し開くために、スカスカする傾向があるのですが、軟口蓋を上げる方とのバランスが取れると、
声門閉鎖の効いた当った明るい声になります。

これは本人が判っていると思いますが、良い状態を掴んだら、それを記憶して
定着させるということが何より大切です。

プーランクの「あたりくじ」を終わりから逆の順番で通して行きました。
発音の間違いの直しと、声の修正ですが、両方が共通の要素を持っていて、正しく発音することが、
良い声を導き出します。

発声と発音は不可分であり、2分化して考えない方が良いでしょう。
フランス語の発音記号でyの発音は、iを基にして、唇を丸く突き出すと、自然にyになります。
また、狭いeは、くれも唇を突き出す発音記号でuの状態で、頭の中でEをイメージすれば、自然に狭いEになります。

中低音の声そのものは、良いポイントをつかめるようになって来ました。
後は、もう少し軟口蓋を使うことで、声門の閉鎖が良く起こった、当った声を更に目指して下さい。

テンポの速い曲は、ゆっくり練習することで、リズムの正確さと、発音の正確さ、もちろん音程もですが、
正確さを大切に譜読み、練習をしてください。